おっちーの鉛筆カミカミ

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ONE EYES(12)

2009年04月19日 10時33分31秒 | 小説『ONE EYES』

第4章 え?親友ってヤツ。(3)


 その部屋にいた、ピコタン絵画教室の最年長者・皆神が口を挟んだ。
「お2人はお知り合いなんですか?」
 修が答える。
「……ええ、中学高校の同級生なんです」
「そうなんだ? すごい偶然だね」
 みどりが改めて驚きを表す。
「そうなんよ!」
 慎平が軽くおちゃらけながら答える。

 同じ部屋に居る、将は黙っていた。
 そして、修と慎平の2人は、部屋にいる間中、常に痛い視線を感じていた。

「じゃ。……先生、ありがとうございました。失礼します」
 修と慎平は、アトリエ、兼倉庫として使われている、隣の部屋に移る。
 修は襖を開けて、部屋に入った。
 そこには愛奈――先生の奥さん――がいる。
 慎平が続いて入ってきて、修は襖を閉める。
「聞こえたよー。親友ってやつ?」
 愛奈が、根っからの明るい笑顔で、2人の顔を交互に見ながら訊ねてくる。
「違いますよ」「そんなんじゃないっすよ」
 2人は同時に答えた。
「何言ってるかわからない」
 愛奈は、わははと笑いながら言った。
「まあ、腐れ縁ですね」
 修が改めて、2人を代表して答えた。
「腐れ縁、ね……あたしにもそんな友達何人かいたけど、結婚してから……もう随分連絡とってないなあ」
 愛奈の視線が宙に浮いた。
「そうなんですか」
 修が相槌をついた。
「あんたたち見てたら、会いたくなっちゃったよ、その子達に」
 その言葉を、慎平は珍しく黙って聞いていた。
「ここでゆっくり話しなさい。私はちょっと、買い物があるから」
「えっ愛奈さん、お気遣いなく」
 修は慌てたが、
「違うの、本当に今足りないものがあるの!」
 慎平は黙っている。
「じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい……」
 修と慎平は、愛奈を見送った。
 襖が閉まる。
 部屋には修と慎平だけが残された。
 修の中には、慎平とあんまりの偶然で再会した驚きと、ちょっとの喜びが改めて脈打っていた。

「まだ同人誌書いてるん?」
 慎平が修に訊いた。

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5 コメント

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ほのぼの~ (矢菱虎菱)
2009-04-20 22:44:07
なんか忘れかけた高校時代を思い出しながら読んでます。
今思えばあのときはあのときで完成された時代の筈なのに、あのときには全然自分が未熟で未完成な感じしかなかったんだよなぁ・・・
自信をもって行動することが全然できなかったなぁ・・・
ああ、青春カムバックです。
返信する
今は…… (おっちー)
2009-04-21 16:53:07
どうでしょう。完成してますか?
 僕は小学校・中学校時代がいちばん自然に、『完成』されていた自分だったなと思い返せます。
 それはきっと、世界が狭かったからなんだと思うのです。
 言ってしまえば「井の中の蛙」。使い古された言葉ですが。
 でも『世界』が狭い方が、精神衛生上はいいのですよね。ある意味『幸せ』。

 何かをしたい、成し遂げたいと思うと、世界を広げていって、その度に傷付いたり、落ち込まなくちゃならなかったりする。

 そしてようやく新しい世界に慣れて、充実してくると、また新しい世界に縁が生まれる……そして……
 って繰り返しなんでしょうか。

 僕は大学時代から急に世界が広がっていって、いろんな『勝負』をしなくてはならなくなったのですが、その時は、自信半分、不安半分、でした。
 ある瞬間は自信満々で『勝負!』。
 でもある時は揺れていて、とても自信なんて持てない。

 今は、、、だいぶいろんなことに慣れてきましたね。
 いろんな場面で、自分がブレないで言動を成せるようになってきた気がします。
 そういうところは最近嫌いではありません。
 『オトナ』に成ってきた、って事でしょうか……

 僕は中高と男子校だったので、中学受験しないで、共学の学校に行ったというパラレルワールドでの、青春が戻って欲しいです!
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↑のコメント。 (おっちー)
2009-04-21 17:05:02
 わかると思いますが、矢菱虎犇さんへの返信です。
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フィクションだと思うんですが (ヴァッキーノ)
2009-04-27 21:53:07
フィクションだと思うんですが
細々したトコが経験しないと出てこないような
そういう描写になっていて
まあ、妄想だったとしても
リアルですよね。

>慎平が軽くおちゃらけながら答える

こういう、なんていうか
こういう感覚って・・・・・・あるんですよ(笑)
「おどけ」じゃなくて
「おちゃらけ」なんです。
会話に個性を持たせるってのが、課題かもしれませんが、どうしたらいいのかは、ボクにもわかりません。
とか言いながら、
ボクはまだブログをお休みしてます。
でも、たまにお邪魔しますので
よろしくお願いします。
返信する
おぉっ、 ヴァッキーノさんへ (おっちー)
2009-04-27 22:39:28
 コメントごっつぁんでございます

 感覚を感じ取っていただけて、リアル感を感じていただけて、嬉しいです。

> 会話に個性を持たせるってのが

 そうですねえー
 あまりデフォルメしていないので、全員が全員僕(筆者)自身の言葉を発してる感があるかもしれません。
 でもまだまだ序盤で、キャラも立っていないので、もう少し経つと、そういう部分は、また変わってくるのかもしれないです。
 でも出来る限り今からでも修正して、そういうところも良くしていきたいと思っています。

> たまにお邪魔しますので

 いつでもどうぞ! 舞ってます。……嘘! もとい、待ってます!

 よろしくどうぞ~~~
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