おっちーの鉛筆カミカミ

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ONE EYES (22)

2010年10月03日 00時17分02秒 | 小説『ONE EYES』

第7章 ナツがはじまる。(1)


『皆様コンニチハ! サンライツセッティングのお時間がやって参りました! 今日もこれからなん時間か皆様のお相手をいたします、今井麻衣子です!!』

 本日も、ラジオから流れる「今井麻衣子」のカラッ元気な声が教室に響いている。

『今日も暑いですねえ。もう夏かしら。……なに恵美ちゃん? はい……もうとっくに夏? はあ、そうなんだ? えっ、だから私の名前を出すな? わかったわよ恵美ちゃん。何わかってない? どうでもいいから曲に入れ? なんか意味もなく怒ってる恵美ちゃんでした。……おぉ、こんな暑い夏にピッタリのナンバー――「PINK SAPPHIRE」で、『P.S. I LOVE YOU』。……えっ、なによ恵美ちゃ(プツッ)』

 FMラジオからPINK SAPPHIREのP.S. I LOVE YOUが流れ始める。
「この曲!……懐かしいなあ」
 田中みどりが、教室内の清掃をしながら、一人ごちている。
「これ好きー」
 笑顔になって、掃除にも勢いがつく。ノッてきたみどり。
 リズムに乗って、机の上を雑巾で拭く。床にあって目についたごみを拾って、ごみ箱に捨てる。掃除機を掛けて、仕上げに床をモップで拭う。
「ふう。……よし、キレイ」
 満足気に教室内を見渡すみどり。
 隣の部屋――アトリエでは、水原将が画を描くという『芸術活動』と格闘していた。時々大きく息を吐く際の声や、画材をキャンバスにあてた時の音だろうか――何かぶつかり合うような物音が聞こえてきていた。
 将さんは……相変わらずか……
 たまにはこっちに出てきてもいいのに。会話というモノを知らないんだから。
 ……お喋りしようよ。
 その時、とう突に誰かが外から教室に入ってきた。
 ビクッと驚くみどり。
「みどりちゃ~ん、修いる!?」
「慎平さん、いきなり現れないで下さいよ」
「ゴメンゴメン、修は?」
「まあいいですけど。居ませんよ」
「今日あいつ来るよなあ?」
「今日、授業はないですからね。どうでしょう」
「来てくれなきゃ困るんだよ。ビッグニュースがあるのに」

『はあ~……一人で喋ってるのも疲れますね。そうだ!今度パートナーを募集します!! この番組のDJをあたしと一緒にやってくれるという方、いつものメールの宛先へ、顔写真付きの自己紹介文を送ってください!……』

「ビッグニュースって何ですか? もしかして……」
「なに? 当てようっての?」
「はい。たぶんそれだと思います」
「答え言ってみなよ」
「慎平さんが、いよいよピコタン絵画教室に入学する!」
「ビー! 大外れ。それとは全然関係ない話だよ」
「じゃあ……コンクール関係ですかあ?」
「おっ、いい線ついてる!」
「もういいかげん教えてくださいよ」
「修が来たら言うよ」

 ピンポーン

「あっ、もしかして修さんじゃないですか?」
「あいつ、ここ入ってくるのにチャイムなんか鳴らさないだろ」
「ちょっと玄関見てきますね」
「はーい。いってら」
 玄関から声が伝わってくる。
「みどりちゃん、オレこの教室やめてもいいかな」
 修の声だ。
「はっ!? なに言ってるんですか、修さん??」
 みどりが返答に困っている。
 会話はもちろん慎平の耳にも届いていた。
「修、いまさら何ばかなこと言ってんだよ!!」
 慎平が教室から大きな声を出した。
「慎平いるのか。オレ、ピコタンやめるから」
「ばーか。やめられる訳ないだろう?」
「なんでだよ、やめるのは自由だ」
 会話の間に、慎平は玄関まで移動していた。
「ちょっと話しよう。とにかく中に入れ」
 慎平は有無を言わさず、修を教室の中まで押し入れた。
「なんで今、『やめる』になるんだよ?」
「そうですよ、修さん、突然過ぎます」
 表情を曇らせたみどりも、慎平と一緒になって修に問うた。
「話すと長くなるんだよ」
 修はうつむいていた。
「じゃあ全部話せ」
 慎平が修にキツく言い放った。
「全部話すのは嫌だから、一言で済ますよ」
「一言で済むんなら最初からそうしろよ」
「うるせーな」
「修さん、話してください」
 修――と慎平、みどりが対峙する。
 修は蚊の鳴くような声で言った。
「彼女が、絵を描くような暗いヤツは嫌いだって」



 久々の『ONE EYES』になります

 なんと半年ぶりの再開!
 うわ~
 何やっとるんじゃ、俺

 今回だいぶダラダラな会話が多くなっております汗
 楽しんでいただければよいのですが……

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 では~

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