おっちーの鉛筆カミカミ

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ONE EYES(23)

2011年01月22日 22時20分15秒 | 小説『ONE EYES』

第7章 ナツがはじまる。(2)


「彼女!?修、お前彼女できたのか!?」
「……そんなようなもんだ」
 修はやはり、蚊の鳴くような声で応えた。
「それで、その彼女さんが絵を描くのを止めろと」
 みどりが問う。
「そんな感じ」
 少しの間があった
「なんでだよ!!」
「何でですか!?」
 慎平とみどり、二人同時に叫んだ。
「女が止めろと言ったくらいで、なんで絵を描くのを止めちゃうんだよ!?」
「そうですよ!」
「そんな女、すぐ別れちゃえ!」
 少しの間のあと、
「慎平さん、それはちょっと言い過ぎ」
「そうか?」
「修、とにかく今ピコタンを辞めるのは思いとどまれ」
「……うーん……」
「今辞めたら、きっと後悔しますよ~」
「……そうかな?……」
「そうだよ、あとで辞めなきゃ良かった~……彼女に言われたくらいで、辞めたのは馬鹿だった~……って、思うぞ、絶対」
「そうかなあ」
「ああ、そりゃ絶対だ」
「……う~ん……」
「修、それよりお前に一緒に来て欲しい所があるんだ」
「は?」
「コンクールに出す、絵のモチーフが見付かったんだよ、来い!」
「おい、ちょっと……!!」
 慎平は、修を無理やり玄関の方に連れ出す。
「待てって、慎平!!」
「いいから、来い!」
 とり残される、みどり。
「みどりちゃん、ちょっと行ってくる!」
「慎平さん、何処へ行くの!?」
「それはまだ秘密!」
 修の「おい!」という叫び声を最後に、ピコタン絵画教室のドアが音を立てて閉まった。
 とり残された、みどり。
「……いってらっさい」

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