本当のことは、薄っすらとしか感じることができない。
だから僕は薄眼になる。
強い光は、弱き本当の色を掻き消してしまう。
だから余計な光が入らないように、注意を払って僕は薄っすらと目を閉じる。
そうすると、本当の気持ちを感じられる。
僕は前を向きたいから、ゆっくりと歩く。それと似ている。
「本当の気持ちを教えて欲しい」
そう言われて本当の気持ちを伝える人はいない。
だから僕は目を閉じて、余計な光を遮断する。
君の気持ちだけにアクセスできるように。それだけに集中したいから。
君と二人で歩いていた。
空を仰いで。大気を吸って。そしてすべてを吐き出して。
僕は並んで歩いていた。
「いい天気だねえ」
そういう君は、目を細めて気持ち良さそうな欠伸をする。そして伸びをする。
僕は思わず目をそらした。恥ずかしくなって。いつもそっちに目がいく。
「昨日は雨だったのにね」
そう応えて、足元を見た。猫が足に擦り寄っていた。
「可愛い!!!」
「動物ならなんでもいいんだろ、アンタ」
「そんなことない!!」
彼女はしゃがみ込んで、猫の頭をクシャクシャする。背中を撫で伸ばす。
「猫ってね、尻尾が弱点なんだよ?」
「お前の弱点を聞きたい」
彼女は少し上を見て考えた後で、
「知ってそう」
「俺が!?」
「うん」
「知らんよそんなの!」
「こんなに一緒にいるのに??」
「そーゆー問題じゃないでしょ」
あのひとは少し考えて、動きを止めて、
「知ってて欲しい気もする」
そう言った。
「知ったら攻めるよ、そこ」
「困るな、それ」
「困るでしょ?」
「うん」
「年がら年中攻撃するよ?」
「困るな」
「秘密にしといていいよ」
「そう?」
なぜか笑顔の君。まだちょっとドキッとする。
「遺書に書いてもらおう」
「なにそれ?」
怒り顔になる君。やっぱりドキッとする。
「私を先に殺すつもり?私の方が長生きするもん」
「そーかもな」
「あらあっさり。素直ね」
「男女の平均寿命の差じゃ」
「あー」
それより何より、君はいま凄いことを言った。
本当の気持ちが垣間見えた時、僕はたまらなく幸せで、穏やかな優しい気持ちになるんだ。
それは僕と君だから。君が僕と出会って、僕が君にあの時あの言葉を伝えたから。
それは泣き出すほど幸せで、運命なんて陳腐な言葉が必然っていうちょっとかっこいい言葉にすり替わった瞬間。その時、僕は君と出会った。
僕と君は、出会った。
そしていまこの瞬間がある。いまこの瞬間は、すなわち永遠と言えた。あの、探していた永遠。いまここにある永遠。
そして僕は君と出会って、新しい命が生まれて、堪らない喜びが僕の身体を包み込んだ。
涙で前が見えない。滲んだ、景色と君と新たな命の喚き声。
僕は水滴を流すために目を閉じた。
あ、宇宙が見える。
真実ってこんなに心地よい幸せだったんだね。
君の本当の気持ちが、それがすなわち真実だったんだ。
ありがとう。生まれてきて、いままで生きてきて本当によかった。
僕は薄っすらと目を開いた。
君の本当の気持ちが見える。僕の本当の姿が見える。
「記念写真撮っていい?」
「馬鹿じゃないの???」
「一生に一回の記念」
「一回で終わらす気??」
「いやそうでもない」
「じゃあまたの機会にお願いします」
「へいへい」
二人は笑った。部屋のみんなが笑っていた。ひとりだけ泣いている君も、
それ、笑顔でしょ!?
そう見えた。
だから僕は薄眼になる。
強い光は、弱き本当の色を掻き消してしまう。
だから余計な光が入らないように、注意を払って僕は薄っすらと目を閉じる。
そうすると、本当の気持ちを感じられる。
僕は前を向きたいから、ゆっくりと歩く。それと似ている。
「本当の気持ちを教えて欲しい」
そう言われて本当の気持ちを伝える人はいない。
だから僕は目を閉じて、余計な光を遮断する。
君の気持ちだけにアクセスできるように。それだけに集中したいから。
君と二人で歩いていた。
空を仰いで。大気を吸って。そしてすべてを吐き出して。
僕は並んで歩いていた。
「いい天気だねえ」
そういう君は、目を細めて気持ち良さそうな欠伸をする。そして伸びをする。
僕は思わず目をそらした。恥ずかしくなって。いつもそっちに目がいく。
「昨日は雨だったのにね」
そう応えて、足元を見た。猫が足に擦り寄っていた。
「可愛い!!!」
「動物ならなんでもいいんだろ、アンタ」
「そんなことない!!」
彼女はしゃがみ込んで、猫の頭をクシャクシャする。背中を撫で伸ばす。
「猫ってね、尻尾が弱点なんだよ?」
「お前の弱点を聞きたい」
彼女は少し上を見て考えた後で、
「知ってそう」
「俺が!?」
「うん」
「知らんよそんなの!」
「こんなに一緒にいるのに??」
「そーゆー問題じゃないでしょ」
あのひとは少し考えて、動きを止めて、
「知ってて欲しい気もする」
そう言った。
「知ったら攻めるよ、そこ」
「困るな、それ」
「困るでしょ?」
「うん」
「年がら年中攻撃するよ?」
「困るな」
「秘密にしといていいよ」
「そう?」
なぜか笑顔の君。まだちょっとドキッとする。
「遺書に書いてもらおう」
「なにそれ?」
怒り顔になる君。やっぱりドキッとする。
「私を先に殺すつもり?私の方が長生きするもん」
「そーかもな」
「あらあっさり。素直ね」
「男女の平均寿命の差じゃ」
「あー」
それより何より、君はいま凄いことを言った。
本当の気持ちが垣間見えた時、僕はたまらなく幸せで、穏やかな優しい気持ちになるんだ。
それは僕と君だから。君が僕と出会って、僕が君にあの時あの言葉を伝えたから。
それは泣き出すほど幸せで、運命なんて陳腐な言葉が必然っていうちょっとかっこいい言葉にすり替わった瞬間。その時、僕は君と出会った。
僕と君は、出会った。
そしていまこの瞬間がある。いまこの瞬間は、すなわち永遠と言えた。あの、探していた永遠。いまここにある永遠。
そして僕は君と出会って、新しい命が生まれて、堪らない喜びが僕の身体を包み込んだ。
涙で前が見えない。滲んだ、景色と君と新たな命の喚き声。
僕は水滴を流すために目を閉じた。
あ、宇宙が見える。
真実ってこんなに心地よい幸せだったんだね。
君の本当の気持ちが、それがすなわち真実だったんだ。
ありがとう。生まれてきて、いままで生きてきて本当によかった。
僕は薄っすらと目を開いた。
君の本当の気持ちが見える。僕の本当の姿が見える。
「記念写真撮っていい?」
「馬鹿じゃないの???」
「一生に一回の記念」
「一回で終わらす気??」
「いやそうでもない」
「じゃあまたの機会にお願いします」
「へいへい」
二人は笑った。部屋のみんなが笑っていた。ひとりだけ泣いている君も、
それ、笑顔でしょ!?
そう見えた。
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