おっちーの鉛筆カミカミ

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ONE EYES(24)

2011年01月26日 00時45分41秒 | 小説『ONE EYES』

第7章 ナツがはじまる。(3)


 一体どこに行ったんだろう?
 みどりは疑問を持つが、間も無くそれについては忘れてしまう。
 ラジオからは先程と変わらず、「サンライツセッティング」の選曲した、みどりの好きなタイプの音楽が流れている。
 そういえば将さんどうしたろうか?
 みどりは自然と忍び足になり、教室とアトリエを隔てるフスマにそっと耳を当て、その向こう側に聞き耳を立てた。
「カァーッ!もうやってらんねえー!!」
 急にフスマが開く。
 驚いたみどりは身を翻し、無関心の振りをした。
「なんだ……みどり、いたのか」
「あ、将さん、絵の調子はどう?」
 分かってるのに、分かっていない振りをする。みどりは自分で自分を、馬鹿だなあーって思った。
「いいわけがない。様子見て分かるだろ?」
 ほら、将さんの機嫌が悪くなる。ああ言えば、こうなるって分かってたのに。
「だいじょぶだよ。将さん、天才じゃん。きっと何とかするよ」
「天才?……しかも、きっと何とかする?……みどり、お前俺のこと馬鹿にしてるだろ?」
「そんなわけないじゃん、尊敬してるよ。将さんのこと」
「あーーー!うるっせーなあーー!!!お前と話してるとイライラする!俺もうアトリエ戻るわ!」
「いつもお二人仲がいいですねえ~」
 そこに、皆神祐樹がニンマリした笑顔で入ってくる。
「皆神さん……こんにちは」
 将が皆神に挨拶する。
「いらっしゃい」
 みどりも言葉を繋げる。
「そんな風に言い合える仲間を持てるってことは、素敵なことですねえ~」
 皆神は相変わらずニンマリした笑顔を崩さない。
「皆神さん、失礼」
 将は部屋を出て行く。
「あっ、将さん」
 みどりが将を呼び止めようとする。しかし将はそれを無視して玄関の扉を開け、そして迷いなく扉を閉めた。ドアを勢いよく閉じた音が、強く教室内に響いた。
「みどりちゃん、お邪魔しちゃいましたか?」
 皆神が言った。
 みどりはかぶりを振り、
「なんでですか? そんな事ないですよ。皆神さん、今日は?」
「そうですねえ……みどりちゃんに会いに来ました」
「は?」
「今日は、授業ないですから」
「また調子の良いこと言って~。制作活動ですか?」
 皆神は不意にみどりの顔を覗き込んで言う。
「ほんとの事なんですけどね。……アトリエは、空いていますか?」
「えっ、あっ、今、将さん出てっちゃいましたから。誰も居ませんよ」
「そうですか。じゃあ、少し絵でも描こうかな……」
 皆神はアトリエのふすまを開け、中に入ろうとする。
 ラジオからはいつの間にか音楽が止んでいて、ノイズ音が流れっぱなしになっていた。みどりはラジオのスイッチを切り、窓の方に近付いた。
「暑いな。窓、開けようか」
 空を見ると、雲のすき間から強い太陽の日差しが漏れ出していた。
「……明るく、元気に!」
 今年の、ナツガハジマル。

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2 コメント

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お手数かけました。 (haru)
2011-01-27 15:51:40
先日は、大変お手数をおかけいたしました。
でも変だな?カテゴリで、探してたんだけど
無かったはずなのに、なぜ今度はあったのだ!
単なる私の見落としだったのか。(ガクッ)

ようやく見つけて、読み始めたのはいいんだけど…

やっぱ、なんか変。。時間軸が遡ってく。。。
あっ!私、あほダー!(えっ!知ってるって?)
上から順番に読むと逆だろうに。

ホントいつもドジですみませんです。(謝)

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なんかharuさんかわいいー(笑) haruさんへ (おっちー)
2011-01-29 02:22:23
 拙作を読んで戴きありがとうございます^^。
 そして返信遅れてすみません。
 昨日まで、「腸炎」で寝込んでおりました。
 お勤めは何とか今日から復帰した(といっても休んだのは1日ですが……)ものの、いまだ固形物を食べられないひもじい生活を送っております。
 昨日も今日も、夕飯はスープストックでした。
 あって良かったスープストック。
 でもスープだけじゃ、どっか物足りねえ……スープストック(笑)。
 味はグーな、スープストック。
 ……しつこいと言われる前に止めときましょう。
 大丈夫です。私もいつもドジです。
 ではでは~
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