竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

かさぶたのいまだ乾かず八月来る 根岸たけを

2020-08-04 | 今日の季語


かさぶたのいまだ乾かず八月来る 根岸たけを

6日9日15日 あの戦争終期の八月
心に吹き上がった血糊は
瘡蓋となってしっかりと残っている
八月になるとその瘡蓋が疼いて来る
この胸騒ぎのような潰瘍は命尽きるまで続くと知っている
(小林たけし)



【八月】 はちがつ(・・グワツ)
初旬に立秋を迎えることから、俳句では8月は初秋とされる。夏休や盂蘭盆の月でもある。秋とはいえまだ日照りは強く暑気も強く、ときに激しい夕立や雷雨がある。そんな中でかすかに感じる秋を詠むことは俳句の妙味であろう。

例句 作者

ご褒美をあげたい八月十五日 前田弘
さまざまの忌日噴火する八月 赤堀睦枝
だまって草むしっている八月の軍手 天野靜鬼
リヤカーで八月の海売り歩く 永井潮
九条へいま八月の白い指 高遠守
八月がゆくたくさんの手を握り 青木栄子
八月が来る母の忌も姉の忌も 沢田改司
八月の 自覚症状はまるでゲリラ 永井徹寒
八月のうぐひす幽し嶽の裏 渡邊水巴