竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

新涼の身にそふ灯影ありにけり 久保田万太郎

2020-08-18 | 今日の季語


新涼の身にそふ灯影ありにけり 久保田万太郎

中七は万太郎ならではの表意
他になにも言っていないのが憎いところだ
新涼 季節がうつろう短い時間
万太郎は己の境涯の現身を客観視しているのだ
(小林たけし


【新涼】 しんりょう(・・リヤウ)
◇「秋涼し」 ◇「秋涼」(しゅうりょう) ◇「初涼」(しょりょう) ◇「涼新た」
秋に入ってから立つ涼気をいう。夏の暑さが去り、新鮮な初秋の涼しさである。暑さの中に一服の涼を求める「涼し」(季:夏)とは区別される。

例句 作者

人祈るかたちいろいろ涼新た 和田順子
仏像の事典みつけし涼新た 渡辺禎子
揺れているのは新涼の旅心 田中朋子
新涼にスープ待つ間の草ひばり 下村豊子
新涼の剃刀触るゝ頬たかく 西島麦南
新涼の森は胞衣なりドラム打つ 加茂踏青
新涼の水飲んでいる寺の猫 平本悦子
新涼の焼き立て工房メロンパン 西村辰子
新涼の舷をつ打つ夜の水 金山桜子