空蝉のいのちを生みし足構へ 根本文子
空蝉に命はもう抜けているのだが
その足には力が漲っていて
容易にははがれない
この足の力こそ長い土中からの命を運んだのだ
(小林たけし)
【空蝉】 うつせみ
◇「蝉の殻」 ◇「蝉の脱殻」(せみのぬけがら) ◇「蝉の蛻」(せみのもぬけ)
蝉の幼虫は地中に数年から十数年間生息した後成長して蛹(さなぎ)となり夏、土から出て木の枝や幹に登り、背を割り皮を脱ぎ羽化して蝉になる。この脱け殻を「空蝉(虚蝉とも)」という。古来空しいこと、はかないことのたとえに使われてきた。《蝉:夏》
例句 作者
茂吉の墓空せみはみな脊を曲げて 松村蒼石
空蝉をのせて銀扇くもりけり 宇佐美魚目
空蝉をつぶすこはれぬものが欲し 伊藤トキノ
空蝉の両眼濡れて在りしかな 河原枇杷男
目を張りて空蝉となりゐたるかな 藤田あけ烏
空蝉のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女
旧姓といふ空蝉に似たるもの 辻 美奈子
空蝉の比較をこばむ貌並ぶ 五十嵐研三
燈籠に縋り空蟬華やげる 髙木智
空蟬の遠い日月掌に 小川公子
茂吉の墓空せみはみな脊を曲げて 松村蒼石
空蝉をのせて銀扇くもりけり 宇佐美魚目
空蝉をつぶすこはれぬものが欲し 伊藤トキノ
空蝉の両眼濡れて在りしかな 河原枇杷男
目を張りて空蝉となりゐたるかな 藤田あけ烏
空蝉のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女
旧姓といふ空蝉に似たるもの 辻 美奈子
空蝉の比較をこばむ貌並ぶ 五十嵐研三
燈籠に縋り空蟬華やげる 髙木智
空蟬の遠い日月掌に 小川公子