竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

必要な嘘は透明雁渡し 田付賢一

2020-08-05 | 今日の季語


必要な嘘は透明雁渡し 田付賢一

初秋の海風をうけながら作者は
人気のない浜に佇んでいるようだ
嘘を隠した後味の悪さも時空を経て今はもう納得している
その心根を「透明」と表意したのだろう
この句の眼目はここにある
(小林たけし)


【雁渡し】 かりわたし
雁が渡ってくる9月、10月ごろ吹く北風。志摩・伊豆地方の漁師たちに伝わる言葉といわれるが、北国においてもその風情は感じられる。

例句 作者

たそがれの無縫の海を雁渡し 小檜山繁子
なまなましき風倒木や雁渡し 小林千代子
みみずくの小さな土鈴雁渡し ひらきたはじむ
七つ島は岩礁なれや雁渡し 水原秋櫻子
旗竿に旗なき山頂青北風過ぎ 瀧春樹
瓦礫より音声菩薩雁渡し 安西篤
生きてゐるうちは老人雁わたし 八田木枯
草木より人翻る雁渡し 岸田稚魚
透析のおとうとへ文雁渡し 上嶋稲子
陸よりも海はしなやか雁渡し 小宅容義
雁渡しぎいんと言葉カーブする 白石司子