必要な嘘は透明雁渡し 田付賢一
初秋の海風をうけながら作者は
人気のない浜に佇んでいるようだ
嘘を隠した後味の悪さも時空を経て今はもう納得している
その心根を「透明」と表意したのだろう
この句の眼目はここにある
(小林たけし)
【雁渡し】 かりわたし
雁が渡ってくる9月、10月ごろ吹く北風。志摩・伊豆地方の漁師たちに伝わる言葉といわれるが、北国においてもその風情は感じられる。
例句 作者
たそがれの無縫の海を雁渡し 小檜山繁子
なまなましき風倒木や雁渡し 小林千代子
みみずくの小さな土鈴雁渡し ひらきたはじむ
七つ島は岩礁なれや雁渡し 水原秋櫻子
旗竿に旗なき山頂青北風過ぎ 瀧春樹
瓦礫より音声菩薩雁渡し 安西篤
生きてゐるうちは老人雁わたし 八田木枯
草木より人翻る雁渡し 岸田稚魚
透析のおとうとへ文雁渡し 上嶋稲子
陸よりも海はしなやか雁渡し 小宅容義
雁渡しぎいんと言葉カーブする 白石司子
たそがれの無縫の海を雁渡し 小檜山繁子
なまなましき風倒木や雁渡し 小林千代子
みみずくの小さな土鈴雁渡し ひらきたはじむ
七つ島は岩礁なれや雁渡し 水原秋櫻子
旗竿に旗なき山頂青北風過ぎ 瀧春樹
瓦礫より音声菩薩雁渡し 安西篤
生きてゐるうちは老人雁わたし 八田木枯
草木より人翻る雁渡し 岸田稚魚
透析のおとうとへ文雁渡し 上嶋稲子
陸よりも海はしなやか雁渡し 小宅容義
雁渡しぎいんと言葉カーブする 白石司子