武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

羊かんの巻

2009-01-06 15:13:26 | Weblog
毎日新聞夕刊(東京都内版)2007年3月20日(火)掲載のえ

迷作、羊かん。

裏千家前家元(十五代)の千玄室さんの思い出の羊かんは、太平洋戦争中、愛機の横で飛行服のまま、仲間6人で茶会した時に「羊かん」を食べ、薄茶を飲んだ時に少尉が千さんに言った。「千なあ、おれ、帰ったらな、お前のところの茶室で茶飲ませてくれや」と。それを聞いてぞっくとして、初めて、死ぬということへの実感がわいてきたといいます。少尉は、もう死ぬのが解かっていていった言葉だということに気づき、たまらなくなり、故郷の方を向き「おかあさーん」と叫んだ。仲間も、皆20歳そこそこで、ボロボロと涙を流して、皆叫んだ。特攻で仲間の4人は戦死したと語ります。

この頃、実は、わたしは入院していて、手伝いが出来なかった。初めて、ヒロク二さんは炊事やら、洗濯、支払い等の雑用等と戦っていた。どうしても資料が欲しいときは、女友達のT子さんに。食べ物が解からないときは、近所の主婦の方にとアドバイスしていた。

しかし、この茶器?陶器の器は、とても問題だったらしい。裏千家の茶碗は、平べったいのが主流で、原画が付くや否、この度の記者の方が慌てて「受け取りに行くので、書き直してください。」と電話が入ったそう。しかし、ヒロク二センセイは電話になると強く出て「それでいいんだ。」とのたまったらしい。
後から、神戸の島田ギャラリーで、しあわせ食堂のトークにて「この器、どうやって茶筅をいれるんですか。」と編集委員の方から話が出て、聞いていた人は、皆笑った。絵のスライドはほとんど「これ・・。(笑い)」の絵が多く選んでいたのか?
その時の話をもうひとつ。もつ鍋の絵は、もつが入っている鍋に蓋がしてあった。編集員曰く「こういう手もあったのか。こうされるとたまらんよ。なんでも蓋されるとなんにでも適応される。」と変な褒め言葉をいただきました。鍋がいい感じに仕上がっているから、良かったのですが・・・。
しかし、「羊かん」の絵の茶碗も問題だったかもしれないけど、羊かんが立ってるというのも・・・・。キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」を思い出した人もいる。さらに、この絵の紙は、イカリ・スーパーの紙袋の裏に描かれている。確かに、イカリ・スーパーの紙はすごく強い紙だわね~と変な所に感心した。何度見ても迷作?「羊かん」です。

この絵を描いた環境は、ヒロク二さんにしたら、わたしの病気も心配だし、したことない炊事、洗濯、「食べ物の絵」と特攻隊のような気持ちでいたのだろうなと思います。電話でよく洗濯機のスイッチの順番説明したヮ。スイッチを押せば出来上がるのに。なんでそうなるのか理解できなかったです。

コメント
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