「地下鉄の入口」という作品。ほとんど色鉛筆で描かれている。赤と黒のコントラストは、ヒロク二さんの作品の中では珍しい。この作品をきっかけに「地下鉄シリーズ」の作品が出来上がっていった。大阪の地下鉄を乗りまくった時がある。わたしが大阪の堂島のオフィスでOLをしていた時期に、帰りに待ち合わせて寄り道して帰ったりしていた。
その頃は、社内では、主人の事は秘密にしていたのです。特に男性には!普通の会社では歳が離れている上、芸術家といえば、ただでさえなんとなく浮いてるわたしは、さらに理解不能な存在になると仕事上めんどくさいと思って。半径3メートル以上近づかない男もいた。仕事を頼みに来たのにほんとに3メートル離れてるから、書類も見えないし、言ってることも分からないのだ。「そんな遠くで言われても分からないです」と言うと初めて近づいてきた。なんかビクビクしてるの。そして用件を言うと飛ぶように離れた。これはまだいい方で、歳の差をそれとなく正直に言ってしまう事があると「じゃ、ワシでもいけるかも?」という勝手な誤解をする男もいた。言わしてもらおう「わたしにも選ぶ権利がある!!」という事を。しかし今や、もう、中年。そんなことがあったなんて懐かしい。と思っています。
そんなことはさておき、一番印象に残る地下鉄の駅は御堂筋線の心斎橋駅のプラットホーム。高い天井にたくさんの蛍光灯が円を描いて並んでいる。その周りに直線的に並べられた蛍光灯。地下鉄は、ついつい足元が気になり下を向いてしまうが、上を向くと唯の蛍光灯がこれでもか!といいたげに光を放っているのです。
上の絵は、実は、ちょっとセクシャルな絵。ヒロク二さんも男なんだと思いました。
この絵は、女性のようだけれど「ヒト形」という印象。素朴な感じがする。しかし、パンツをはいているから文明の匂いもある。人は何時頃からパンツなるものを身に着けはじめたのか?
随分前、男のパンツを洗う、洗わないで話題を提供した上野千鶴子さんというフェミニストの方がいましたが、ケチな話だと思った。ヒロク二さんのパンツはわたしが洗っています。ついでにデザインや柄もわたしが選んでいる。たまに、2人で選ぶ。ヒロク二さんが色柄を選び、わたしが値段と縫製の具合と生地をチェックします。パンツが破けたら、繕ってあげます。その悲しいパンツは、「愛のパンツ」と呼びます。最近、‘愛のパンツ’と‘愛の靴下’が増えてきちゃって、新しいのを買わないといけません。