この絵がアトリエにしている部屋の入り口からよく見えます。
遠目でみていると「ピンクのハート」が描かれているように見えた。
ピンクの部分にバラバラとした黒い線。
この雰囲気がイイと思う。
一時、ニューペインティングが流行った頃を思い出します。
しかし、これは最近描かれたものなのです。
この絵は、6Bの鉛筆、アクリル絵具、白のクレヨンで描かれています。
遠くから見ている時は、黒のマジックで描いていると思って見ていました。
ほとんどの部分は、アクリル絵具で仕上げられていて、かすれた感じの部分も筆を使っている。
「そうなんだ・・・。」と思ってじっくり絵を眺めなおしました。
このピンク色も印象的で、ショッキングピンクに思える色。
よく見るとそんな派手ではなく、トーンは落ちているのが分かります。
ピンク色が好きな人なので、ピンクの色の幅が色々あり、ピンク色を使わせると、なかなか粋な感じ。
主人の絵は、時々「子供が描いたような絵」と言われるが、
その話をすると同業者からは、
「子供がこんな絵を描いたら怖いでしょ。」と言われます。
近年は、「仙人みたい。」と言われたりする風貌になってきているらしいが、
このようにハチャメチャな感覚を未だ持っています。
夕食を終えた頃、ヒロクニさんは、
「俺の絵は、愛なんだよ。」と言う。
私は、「愛って、いろいろあると思うけれど、どれなの?親の愛とか、夫婦愛だとか、子供への愛情とか、どの愛の話?」と、引き気味に言う。
あまり話題にしたくないような・・・。
何かしらねちっこいエネルギーを感じてしまうのでした。
続けて言うには、
「愛っていうけど、いわゆる“イデア”に近いもので、ヒューマンに近いかな?」と。
私はちょっとホッとして、「“イデア”の方なら、良かった。その方が安心な感じがする。」と言い、「その話なら、まだましよ。」と言った。
それから、いろいろ話を聞いていました。フンフンと相槌も打った記憶があるけれど、すべて忘れてしまった。
聞いている時は、「成るほど。」と思っていたのですが、ここに書こうと思ったら、まるで思い出せない。
“イデア”というのは、哲学者プラトンの造語なのですが、元々、「見るもの」「見られるもの」という語源からきているようで、一言でいうと、目にはみえない『魂という観点から見た純粋なもの。』と言ったらよいのだろうか?
もっと簡単に言うと「何故、我々は生きているのか?」を考える哲学と言い替えてもいいのかもしれない。
↑左がプラトン 右がアリストテレス
プラトンは、紀元前427年~347年の人
この絵は、ミケランジェロ作
そう思うと、「君は、私を愛しているのか?」という問いは向けられないと思うので、ホッとしたのです。
我が夫は、西洋人みたいな感覚を持っていることがあって、凄く聞かれたりするのです。
私は、日本人らしく、そういう事を話題にするのは、気恥ずかしいので、「やめて・・・。」となります。
以前、「俺は、君のことを好きだと、何回も言っているが、君は、俺を好きだって言った事ないよねぇ~。」と詰め寄られ、
「もう、30年も一緒にいるのだから、それが答えでしょ。」と言うが、そういう時は、(それじゃあ物足りないのか、)「だったら、言え!。」と、催促されます。
こういうの苦手です。
だから、“イデア”の問題で、ホッとしています。
身内で褒めるのもなんですが、私より哲学書をきちんと読んでいるので、聞くと、簡単で分かり易く語ってくれるので、辞書代わりにヒロクニさんに、難しいことは聞くことがある。
しかし、辞書としては役に足ってくれるが、自身の話は、
「分かり難い上に、話の文脈が変わっていたりする上、話は長い。」
横になって休んでいる最中に、話かけられたりすると、
『寝たフリをする時があります。』
「もう、寝ちゃったの?」と何回も声をかけてくるのですが、
寝てしまっている演技をします。
最後に、ゆすって起こしに来ますから、その時は、
起きてしまったフリして、「すっかり寝てたわ。」と、白々しく言います。
いつも思うのですが、「愛」だの「イデア」だのと書いていたのに、
どうして「寝たフリ」の話に行き着いてしまうのでしょうか?
私も、ヒロクニさんと似た話の仕方なのでしょうか?
いまひとつ、理知的な美術家の妻になれない私のようです。
↑そんな日の夕食のメニュー
タラの白身フライ
タルタルソースたっぷり、きゅうり、たまねぎ、イタリアンパセリ、ゆで卵が入ったソース
サフランスープ(パエリアを作った時の残り汁を使って)
小松菜と油揚げの炒め物
厚揚げの煮物
錦糸卵(フライに使用した卵の残りを使って)
きゅうりのぬか漬け(いつもの自家製)
この日は、サフランスープのおかげで、豪華な感じに。
ところが「みそ汁の方が良かった。」と、ダメだしされるのでした。
↑夜、布団の上のピピ。
触られるのが好きなので、こうやっていると、延々目を閉じて寝ます。
↑この摘まんでいる部分の毛がとてもフカフカしていて、手触りがいい。
何されても、この状態を維持しているピピちゃんなのです。
夜は特に。
変哲のないサビ猫なのですが、思いのほか手触りがよく、兎に角、撫でて欲しい猫ちゃんで、こんなに密着型の猫は始めてです。
それが、また可愛い。
鼻と鼻をくっ付けたりしても、プイッと横に向かず、ズーと鼻がくっついた状態でジーとしています。動かないのです。
私の方が根負けして、鼻先を外します。
猫も、1匹、1匹、個性があるのですね。痛感します。
良人より猫の方が、可愛いと思う時があって、なんだか後ろめたい。
家の旦那は、かなりひつこいところが難点か?