題「レジェ珈琲」色鉛筆・作品
この作品は、わたしが一等好きな色鉛筆だ。今は、手元に無く画集・電動色鉛筆党 DEATH is CANDYの中でしか見れなくなってしまった作品だ。ヒロクニさんの言う「ガジェット」がたくさん登場する。舌を出して振り向く女性やヒコーキや歯ブラシの船にのる男達、階段、建物、そして記号。画像では、色がもうひとつさえなくて、本当の美しさがいまひとつ伝えられないのが残念です。
「ハブラシの船に乗った人」が今見ると印象に残り、当時は画面を全体的に見ていたのに気が付く。画面の下の方に描かれているハブラシの船に乗った人は、良く見るとそれぞれ立ち方や、手の格好、持っているものが違い、土俗的なシャーマニズムの要素を含み、何か守り神のような存在に思えてきた。
ハブラシの王子は、「よいさ、こい!」と言い、先頭を進む。大きな水色の帽子をかぶり、1番重く秘法のハブラシを突き出す。
赤いハブラシの戦士は、「気軽に行きましょう」と甲高い声で王子を促す。
黒いハブラシの戦士は、「俺様の腕前を見せてやる!」と力を漲らせ、吹く風のままに船を走らす。
一つ目のハブラシの戦士も、力瘤を見せつけながら、「くるもの拒まずじゃ!」と意気盛んである。
赤いハブラシの戦略家の戦士は、ハブラシの斧と空中を飛ぶフリスビーを持ち、高貴な笑みをうかべ笑っている。
赤いハブラシの二刀流の戦士は、用心深く、戦闘の始まる前から二本のハブラシを高く持ち上げ「歯磨き粉の奴に、お仕置きをしてやる」と復讐に燃えている。
この戦士達は、左の方向へ向かっている。この絵の描かれていない続きへと進んでいる。夢の王国を通り抜け、戦場へ行くのである。
子供の絵画教室の授業をする時に、絵本作りの時にいつも説明をしていた。いつも可笑しな物語を語り、リラックスさせ、「こーんなにかんたん」という気持ちにさせる。虫眼鏡をいつも持っている、夏でもコートを着ている狸探偵という主人公も開発した。狸探偵は、よく狸寝入りを使い事情聴取を行うが、本当にいつも寝てしまい、なにも解らなかったという物語。小学生の生徒達は、わたしが油断している隙に、虫眼鏡の絵の中に蝿を描きこんだり、道にうんこを描いたりとするが、わたしの教室では誰も怒られない。「うんこの色は、最高にうんこ色にしましょう」というと皆競って、その絵にばっちい色を塗ってワクワクしていたから。そんな中で、作られた絵本は、うんこも登場せず、名作!?を作った子もいた。わたしは、自作の絵本は生徒よりぱっとせず、物語ゴッコだけがうまくなった。
我が家では「コンスタンティノープル」と「マダガスカル」とヒロクニさんと言い合い、ウディ・アレンの映画「スコルピオンの恋まじない」ゴッコをする時がある。(この映画を見た人にしか分からないのだが・・・・)
わたし「コンスタンティーノープル」と言う
ヒロクニさん 催眠術にかかった振りをする そして歩いていく。
ヒロクニさん「マダガスカル」と言う。
わたし 急に態度が変わり「ダーリン、トゲのある言葉の裏にひそむ愛が解らない?」と言うのである。後はヒロクニさんに賛美の言葉を浴びせかける。(ゴッコだからできるのですが・・・・)
黒澤明監督の「赤ひげ」ゴッコもあります。ヒロクニさんが家で無理難題を言うと、おもむろに雑巾を手にして廊下を拭く。目は上目使いに精神を病んだ人になり、廊下をひたすら拭く。(おとよちゃんの演技をしてるつもりなのです)ヒロクニさんが「サホリ、何してるの?」と言うと「おとよちゃんなのさ」と言い、ヒロクニさんを赤ひげ先生のところで修行している新米の先生の役を演じさせようとしているのである。
初老と中年女が、狭い家で四六時中顔を会わす我が家は、ゴッコで乗り切ってるのです。我ながらいい歳してよくやるなと感心します。
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