遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(462) 小説 いつか来た道  また行く道(22) 他 自在な心 知識

2023-08-27 13:09:49 | つぶやき
             自在な心(2023.2.21日作)


 人間 性善説
 人の善意を信じる
 他方 性悪説も存在する
 善と悪
 善を信じ 悪に備える
 この世は総て多面体
 前後 左右 裏表 上と下
 まさかーー
 甘い考え
 危機への道を辿るだけ
 備えは常に万全に
 囚われるな 心は柔軟自在
 常に 開いて置け


             知識


 アメリカの詩人の言葉
 
 読み書きしただけで得た知識は
 後ろ足で立つ犬と同じ
 長続きしない

  (体験 経験で得た知識こそが本当の知識)




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          いつか来た道 また行く道(22)




 そうだ、中沢が身に付けていた服や靴も埋めてしまわなければーー。
 シャベルを地面に突き立てて家の中へ駆け戻った。
 脱衣所に脱ぎ捨ててあった中沢の衣服を一掴みにして玄関へ戻り、靴も手にした。
 よし、これで良し、他に埋める物は ?
 車に思い至ったが、まさか車を埋める訳にはゆかなかった。
 あとでなんとか処分の方法を考えよう。
 車庫の鍵はわたしが持っているので、その点では安心出来た。
 何もない事を確認すると外へ出た。
 そのまま先程の現場へ戻り掛けてふと、重大な事に気が付いた。
 中沢の車の運転免許証と住まいの鍵を手に入れる仕事が残っていた。
 今度の事には最初からそれが一つの目的として組み込まれていた。
 中沢の住所も住まいもわたしは知らなかった。
 中沢を殺害したあと、彼の住居へ忍び込み、保管されていると思われる写真やネガフイルムを取り戻す事が目的の一つだった。その為にも中沢の住所を記録した物が欲しかった。
 思い掛けない自分の失態に気が付いて急に不安になった。
 他に手抜かりはないか ?
 玄関へ戻って明かりを点け、中沢の上着のポケットを探り、財布を取り出して免許証を探した。
 財布の中には他にも二枚の一万円札と千円札一枚、百円を交えて幾つかの硬貨があった。
 それらを抜き取り、そばの靴入れの上に置いて更に別のポケットを探って鎖に繋がれた三つの合鍵を取り出した。
 総てのポケットが空になったのを確認すると、これで良し、と呟いて、中沢の衣服と靴を手に先程の現場へ急いだ。
 穴の傍へ戻るとそのまま暗い穴の底に横たわる中沢の動かなくなった白い裸体の上に衣服と靴を投げ入れた。
 よし、これで良し ! 更に呟いて立て掛けてあったシャベルを手に取り、すぐに積み上げられた落ち葉と共に今、掘り出したばかりの土を穴の中へ投げ込み始めた。
 掘り起こした土を投げ入れる作業は掘る作業に比べて格段に楽だった。落葉と共に投げ入れられた土はたちまち、先程苦労をして汗だくになりながら掘った穴を埋め尽くしていった。
 周囲の高さと変わりなく土が埋められると、落ち葉を搔き集めてその上に載せ、周囲の状態と変わりがない程に均していった。
 暗闇の中で一見、穴を掘った場所の見境がつかなくなると、これでいいだろう、一先ずの安心感と共に呟いて、シャベルを動かす手を止めた。
 またしても全身、汗だらけになっていた。
 それでも、大事な仕事を終えた後のトレーニングウエアの腕で拭う汗の感覚は心地良かった。
 思わず、傍にあった大きな樹の根元に身を寄せて座り込むと、体中を満たしている深い疲労感を癒す為に暫くは腑抜けのようになって何もせず、何も考えずに眼を開けたまま、白樺の木立の間に広がる闇の空間を見詰めていた。
 どれだけの時が過ぎたのか、時間の感覚は全く掴めなかった。ようやく体の中に湧き起こる気力を意識した時、初めて樹の根方を離れて立ち上がる気になった。  
 中沢を埋めた場所を再度確認すると、一目では全く周囲と見分けが付かない程に均されていた。その場所を見つめながら、これで誰にも気付かれる事はないだろう、と深い満足感と共に納得して、傍に突き刺してあったシャベルを手に取りその場を離れた。

 玄関へ戻る前にシャベルを元の場所に戻して立て掛け、傍にあった落ち葉でこびり付いた土をきれいに拭った。
 玄関先では衣服や髪に絡み付いているかも知れない落ち葉や泥を丁寧に払い落とした。
 泥まみれの長靴は玄関を汚さないように入る前に脱いで外へ置いた。
 広間に入ってからも汚れた服装でソファーに掛ける気にはなれず、すぐに浴室に向かった。
 浴室では総てが中沢を引きずり出した時のままになっていた。
 風呂の種火も付いたままになっていた。
 蓋の取られた浴槽からは湯気が立ち昇っていた。洗い場の隅にはシャンプーの泡までこびり着いていた。
 つい先程、何時間か前まではそこに居た中沢の姿が洗い場にポツンと置かれた椅子の上にない事が、奇妙な喪失感を伴って胸に迫って来た。
 思わず漏れそうになる嗚咽を必死に堪えた。
 あいつが悪いのだ ! 総て、あいつが悪いのだ !
 彼への激しい憎しみを込めてこみ上げる嗚咽の中で呟いていた。
 眼の前には綺麗に磨かれた大きな鏡が銀色の光りを放っていた。
 その光りに気付くと共に、等身大の自分の姿がそこに写し出されている事に気が付いてハッとした。
 普段、見馴れているわたし自身だった。だが、明らかに普段のわたしとは違った、見すぼらしく疲れ果ててやつれた顔をしたわたしだった。
 思わずその姿にギョッとした。
 普段、鏡の中で見馴れている艶(あで)やかなわたしの姿は何処にもなかった。
 まるで夢を見ている気がした。
 だが、夢ではなかった。明らかな現実だった。
 その現実に気付くとわたしは途端に自分が身に纏っている物の総てに不快感を覚えて夢中になって脱ぎ捨てていた。一刻も早く、見すぼらしく薄汚いた自分自身を葬り去ってしまいたかった。
 トレーニングウエア、靴下、下着、総てを次々とその場に脱ぎ去っていった。
 素裸になるとそのままシャワーを手に取り、汗で汚れて乱れたままの髪の頭の天辺から浴びせかけた。
 血だらけになっていた肉刺(マメ)の潰れた、シャワーを握った手が湯の熱気で沁みた。
 その痛みで改めて手を見ると、幾つもの肉刺が潰れている事は勿論、普段、わたしが大切にしている爪までが、先程の用心にも拘わらず、無残に割れていた。
 どうしょう ? こんなになってしまった。
 泣きたい思いだった。
 これでは人前に出せない !
 シャワーを止めると元の場所に戻し、改めて自分の両手を見詰めた。
 先程まで止まっていた肉刺の血が湯の熱気で温められたせいかまた滲み出て来た。
 足元に転がっていた下着を取って滲み出る血を拭った。
 血は拭っても拭っても滲み出た。




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             takeziisan様              


              有難う御座います
             懐かしい曲 以前は当たり前にように耳にしていたものですが
            最近は余り聞く機会がありません
               聞かせてよ愛の言葉
             ルシエンヌ ボワイエ 初めて聞きました
             岸洋子の唄も懐かしいですね 早くに亡くなってしまいましたが 
             それから後は越路吹雪の唄で有名ですね
             郷愁ばかりではなく 昔の歌には情緒があります
             今のがなり立てるだけの歌とは違います
               奥白根山 あの絶壁に立つ快感 想像出来ます
             一度経験したら病み付きになるのでしょうね
             登山経験のないわたくしにも想像像出来ます
              雑草の逞しさには恐れ入りますが 朝食前の一仕事
             まだまだお元気 瑞々しい収穫物の為にも頑張って下さい
             8000歩を歩く気力があれば大丈夫 ウエストポーチ
             着けて歩く姿が眼に浮んで来て微笑ましく拝見しました
             「寄り合い家族」わたくしは平岩弓枝の本は読んでいませんので
             何とも言えませんが なんとなくその文章の匂いが感じられるような気がしています
             次回を楽しみにしています
              有難う御座いました





              桂蓮様
  

               コメント有難う御座います
              バレー 良い趣味を見付けられましたね
              手術の後の事 充分 注意をして御無理をなさいませんように
              舞台写真 拝見出来る日を楽しみにしております
               新作 拝見しました
              人間自分の意志次第でどうにかなるものですね
              心の持ちようが大切 それと努力 努力の出来ない人間は結局
              変わる事も出来ないのでしょうね
              桂連様も三回変わったという事 その柔軟性があれば何処に居ても
              生きてゆけます
                それにしても良いお方に巡り合えてお幸せです
              まめなお方のようでなんとなく暖かいお二方の日常が浮んで来ます
              いつも羨ましい気持ちで拝見しているそちらの自然環境 その中での生活
              自然環境の維持も大変でしょうが 日常 生きると言う事は
              そういう小さな事の積み重ねの上に成り立っているものなのでしょうね
              毎回 拝見するのが楽しみです
               有難う御座いました
















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