田中雄二の「映画の王様」

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『評決』

2016-02-04 09:00:10 | All About おすすめ映画

『評決』(82)(1983.4.13.有楽町シネマ2)

聖職者の腐敗を鋭く告発

 

 この映画は、カトリック教会系の病院で起きた医療過誤に関する訴訟を描いた法廷劇です。名優ポール・ニューマンが人生に敗れアルコール依存症となった弁護士ギャルビンを演じています。仕方なく披害者側の弁護人となった彼が、事件の調査を進めるうちに、正義に目覚め、自らも立ち直らんとして変化していく姿が見どころです。

 監督は『十二人の怒れる男』(57)で陪審員を描いた社会派の巨匠シドニー・ルメット。本作では、訴訟を通して、医師や弁護士といったいわゆる“聖職”に携わる者の腐敗を鋭く告発していきます。

 クライマックスは、ギャルビンの最終弁論のシーンに訪れます。被告側の証拠隠しによって絶望的な状況に陥ったギャルビンは、ここで正義や法のあり方を陪審員に説きます。ニューマンの名優たる所以を証明する名場面ですが、これはわれわれ観客に向けて語り掛けているとも言えるのです。そして、さまざまな人種の陪審員たちが逆転の正義を示すところにこの映画の真骨頂が発揮されます。思わず「そうこなくっちゃ!」と一声掛けたくなるような見事な幕切れです。

 ニューマンに加えて、秘密を持った女性を演じたシャーロット・ランプリング、被告側の弁護士を憎々しく演じたジェームス・メイスン、ギャルビンを陰から支える相棒役のジャック・ウォーデンら脇役たちの好演も光ります。正義や裁判制度にこだわり続けたルメットならではの力作と言えるでしょう。

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