合言葉は「家に帰ろう」
1952年、ブリザードが発生した北大西洋上で、巨大タンカーの遭難事故が起きる。船体を真っ二つに引き裂かれ、沈没寸前の船内に取り残された乗組員を救うため、沿岸警備隊員のバーニー(クリス・パイン)と3人の仲間が小型ボートで救助に向かう。合言葉は「家に帰ろう」だ。
監督クレイグ・ギレスピーが『ミリオンダラー・アーム』(14)に続いて実話を基に映画化。よくぞこんな昔の知られざる話を掘り起こしてきたものだと感心させられる。救助船が小型ボートというところがミソで、1970年代のパニック映画をほうふつとさせるような面白さがあるのだ。
パインが、救助船の船長役で頑張りを見せるが、これは『スタートレック』シリーズのカーク船長役を意識してのキャスティングだろうか。この映画のパインは、ちょっとますだおかだの岡田圭右に似ていると感じたが、それは別の話。
ところで、この映画は、バーニーの恋愛、沿岸警備隊の動き、タンカー内の人間模様という三つ巴劇なのだが、ホリデー・グレンジャーが演じたバーニーの恋人の存在が目立ち過ぎ、時折話のテンポが崩れるところが気になった。時代背景を考えれば、無理に女を出さず、男たちのドラマに徹するべきだったのでは、といううらみが残る。
壁となった巨大な波の下で小型ボートがまるでサーフィンをしているようなシュールな場面など、特撮にも見どころが多い。