棋士・瀬川晶司五段の自伝的同名小説を映画化。

プロ棋士の登竜門である奨励会に入会するも、「26歳までに四段に昇格できなければ退会」という規定をクリアできず、一度はサラリーマンとなった主人公が、再びプロ棋士を目指す姿を描く。監督は、自らも奨励会入りしながら挫折し、賭け将棋の世界を描いた『王手』(91)の脚本を書いた豊田利晃。瀬川五段を松田龍平が演じている。
この映画には、同じく、棋士を主人公にした『聖の青春』(16)や『3月のライオン』(17)に見られたような“熱気”はなく、淡々と描いたところに多少の物足りなさを感じるが、その分、松田の、あまり感情を表に表さない、つかみどころのない個性が生かされたとも言えるだろう。
また、全編が乾いたタッチで描かれた分、ラストの瀬川の対局を応援する周囲の人々の“熱さ”が目立ち、よくあるパターンではあるが、『ロッキー』(76)などのスポーツ映画のクライマックスをほうふつとさせるところもある。
主人公の姿を通して、自分の好きなことを仕事にする苦痛と喜び、好きなものを純粋に好きであり続けることの難しさを、改めて知らされた思いがした。棋士奨励会の年齢制限を舞台にしたドラマとしては、ジェームス三木脚本、川谷拓三主演の「煙が目にしみる」(81)を懐かしく思い出した。

プロ棋士の登竜門である奨励会に入会するも、「26歳までに四段に昇格できなければ退会」という規定をクリアできず、一度はサラリーマンとなった主人公が、再びプロ棋士を目指す姿を描く。監督は、自らも奨励会入りしながら挫折し、賭け将棋の世界を描いた『王手』(91)の脚本を書いた豊田利晃。瀬川五段を松田龍平が演じている。
この映画には、同じく、棋士を主人公にした『聖の青春』(16)や『3月のライオン』(17)に見られたような“熱気”はなく、淡々と描いたところに多少の物足りなさを感じるが、その分、松田の、あまり感情を表に表さない、つかみどころのない個性が生かされたとも言えるだろう。
また、全編が乾いたタッチで描かれた分、ラストの瀬川の対局を応援する周囲の人々の“熱さ”が目立ち、よくあるパターンではあるが、『ロッキー』(76)などのスポーツ映画のクライマックスをほうふつとさせるところもある。
主人公の姿を通して、自分の好きなことを仕事にする苦痛と喜び、好きなものを純粋に好きであり続けることの難しさを、改めて知らされた思いがした。棋士奨励会の年齢制限を舞台にしたドラマとしては、ジェームス三木脚本、川谷拓三主演の「煙が目にしみる」(81)を懐かしく思い出した。