エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』
今週は
ジョンソンの存在を際立たせるためのアイデアの集積が見事な
『スカイスクレイパー』
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三上延の原作小説を、三島有紀子が監督して映画化。
就職浪人の五浦大輔(野村周平)は、祖母(渡辺美佐子)の遺品で、夏目漱石のサインが入った『それから』を、鎌倉のビブリア古書堂に持ち込む。店主の篠川栞子(黒木華)は筋金入りの古書マニアだったが、大輔はこの店でアルバイトをすることになる。
現在と50年前の二つの恋を交差させて描きながら、漱石の『それから』と太宰治の『晩年』をめぐる謎を解いていく、という趣向は面白いが、ミステリーとしては弱く、人物描写も軽いところが残念。
とは言え、大道具としての古書店、小道具としての古書、万年筆、原稿用紙、本をめくる音などで、本好きのツボを突きながら、同時に、本以外のことには無頓着な“古書マニアの業”も描き込んでいるところは面白かった。
黒木華は、どちらかと言えば時代劇や古風な役が似合うので、こうした役は新鮮に映った。