田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『地球防衛軍』と『宇宙大戦争』

2018-09-13 10:51:02 | 映画いろいろ
 日本映画専門チャンネルの「東宝特撮王国」が、地球侵略を目論む宇宙人ミステリアンと地球防衛軍の闘いを描いた『地球防衛軍』(57)と、月から地球侵略を企てる宇宙人ナタール人と地球防衛軍の攻防を描いた『宇宙大戦争』(59)を連続放送。どちらも自分が生まれる前に作られた映画だが、今からおよそ60年前の豊饒なSF的イメージ、光線が印象的な見事な特撮シーンに改めて酔わされた。

 

 『地球防衛軍』で、ミステリアンの虜となり、最後は、恋人(河内桃子)に別れを告げ、自らの死と引き換えに清算する白石博士(平田昭彦)。その師で、最後に「我々は、決して彼ら(ミステリアン)と同じ轍を踏んではならない」と物語の根幹となるセリフをつぶやく安達博士(志村喬)の姿は、『ゴジラ』(54)の芹沢、山根両博士と同じパターン。東宝特撮映画の連続性や一貫性を感じさせる。

 一方、伊福部昭作曲の『宇宙大戦争』マーチは、後に『怪獣大戦争』(65)でも形を変えて登場した名曲。両作を見て以来、宇宙人との闘いのシーンになると、この曲が頭の中を駆け巡る。そんなこの曲が、最近の『シン・ゴジラ』(16)で流れてきたのはうれしい驚きだった。ここではナタールに洗脳される岩村(土屋嘉男)が平田昭彦的な役割を担っている。

 ところで、通訳役のヘンリー大川(平八郎)はアメリカに渡った日本人だが、その他、ハロルド・コンウェイ、ジョージ・ファーネスら、東宝特撮映画でおなじみの外国人たちの姿が見られたのも懐かしかった。中でもファーネスの本職は、東京裁判で重光葵の弁護人を務めた弁護士だというから驚く。その後、東京で法律事務所を開くとともに、俳優として多数の映画やドラマに出演したという変わり種だ。

 彼らの仲間の一人であるウィリアム・ロスが語った『ウィリアム・ロス 映画人生五〇年』という本があるようだ。読んでみようかな。
https://www.amazon.co.jp/dp/4864760780
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『ザ・プレデター』

2018-09-13 09:09:31 | 新作映画を見てみた
 元特殊部隊の兵士で今は傭兵となったマッケナ(ボイト・ホルブルック)は、メキシコのジャングルで謎のエイリアンと遭遇。その証拠としてマスクと装置を回収し、自宅に送る。ところが、息子のローリー(ジェイコブ・トレンブレイ)が、装置を起動させ、軍が捕獲、研究していた“プレデター”を呼び寄せてしまう。マッケナ率いる“ルーニーズ”と呼ばれるならず者の兵士たちが、ローリーを救うため、プレデターと死闘を繰り広げる。



 監督のシェーン・ブラックは、『リーサル・ウェポン』(87)など、アクション系の脚本家・監督としても知られるが、プレデターに関しては、俳優として、オリジナルの『プレデター』(87)で最初に殺される兵士を演じた縁があるのも面白い。

 この映画では、テンポのいい、激しいアクションの中に、マッケナ父子の絆の再生や、ルーニーズのグループ劇を入れ込んだ。これは自殺癖のある主人公のリッグス(メル・ギブソン)の再生に加えて、グループ劇としての要素もあった『リーサル・ウェポン』のパターンを踏襲したとも思える。

 エンディングは続編の製作を予感させる。また一つシリーズものが誕生するのか。
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