田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ゼイリブ』

2020-09-26 13:40:14 | ブラウン管の映画館

『ゼイリブ』(88)(1990.3.25.日曜洋画劇場)

 ネイダは、偶然手に入れた特殊なサングラスによって、社会の上層にいる人間がエイリアンで占められていることを知る。彼は人類に警鐘を鳴らすための行動を起こすが…。

 今や、ロジャー・コーマンに続く“B級映画の巨匠”となった感のあるジョン・カーペンターの面目躍如の一編。はやりの凝ったSFXはほとんど見られないし、出てくる俳優もほとんどが無名で、主人公のネイダを演じたロディ・パイパーはプロレスラーだ。

 にもかかわらず、日本ならアニメでしか描けないような題材を、ちゃんと劇映画として作ってしまうところがすごいし、現代文明に対する警鐘もそれなりに鳴らしているから、一概にはバカに出来ないものがある。

 それにしても、エイリアンだと見破れるあのサングラスは、一体どうやって作ったのか、などと、見た後で思わず考えさせられてしまうあたりは、いかにもB級映画の乗りで、それはそれで楽しい。

 目に特徴がある相手役のメグ・フォスターは、名前はメグ・ライアン+ジョディ・フォスターだが、見た目はちょっとローレン・バコールに似ている。

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『要塞警察』

2020-09-26 13:02:11 | ブラウン管の映画館

 今日のBSシネマはジョン・カーペンター監督の『エスケープ・フロム・L.A.』(96)。メモが残っていなかったので、その代わりに、

『要塞警察』(76)(1987.6.7.)

 移転を間近に控えた警察署に、ストリートギャングに追われた男が逃げ込んでくる。ギャングたちは警察署を完全包囲。黒人警官は、わずかな署員と署に収容されていた凶悪犯と協力し、ギャングたちに立ち向かう。

 この映画は、ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』(59)を下敷きにしているという。なるほど、大人数に少人数が立ち向かう戦いの面白さやスピード感はちゃんと踏襲して、上出来な映画に仕上げていると思った。

 加えて、これがジョン・カーペンターのデビュー2作目と聞けば、ニューシネマ以降の監督たち(スピルバーグ、ルーカス、ミリアス、デ・パルマ…)の、先達を尊敬し、模倣しながら、自分なりの形にして、新たな映画を作り出すという共通性が浮かんでくる。彼らが、旧作を否定することをエネルギーとし、時代に敏感だったニューシネマの波を越えていったのだ。

 その意味でも、この映画はジョン・カーペンターという監督の資質を知るには外せない一本だと言えるだろう。オースティン・ストーカーが演じたタフな主人公は、『ニューヨーク1997』(81)『遊星からの物体X』(82)のカート・ラッセルに通じるし、得意のバイオレンス描写のルーツもここにある、と言ってもいいだろう。いずれにせよ、ある監督の初期の映画というのは、いろいろと勘繰りたくなるものらしい。

【今の一言】カーペンターは、よっぽど『リオ・ブラボー』が好きとみえ、この映画のほか、火星を舞台とした『ゴースト・オブ・マーズ』(01)、セルフリメークの『アサルト13 要塞警察』(05)と三度リメークしている。

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