今年の東京国際映画祭のクロージング作品は、葛飾北斎の生涯を描いた『HOKUSAI』。監督は『探偵はBARにいる』シリーズなどの橋本一で、北斎の青年・壮年期を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じている。
北斎の版元の蔦屋重三郎(阿部寛)、北斎の盟友・柳亭種彦(永山瑛太)との関わりを中心に、喜多川歌麿(玉木宏)、東洲斎写楽(浦上晟周)、滝沢馬琴(辻本祐樹)も登場するこの映画は、北斎を反権力の人として描くために、都合のいい様々な“作り話”をちりばめているのだが、うまくだましてくれない、というか違和感を抱かされる。
この映画は、某芸能プロダクションが製作しているのだが、そこの代表の夫人でもある河原れんが企画し、脚本を書き、所属する俳優を使い、自身が北斎の娘のお栄を演じている。多分、そこが違和感を覚えさせられる大きな要因なのだろうと思われる。