田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『HOKUSAI』

2020-11-09 18:37:42 | 新作映画を見てみた

 今年の東京国際映画祭のクロージング作品は、葛飾北斎の生涯を描いた『HOKUSAI』。監督は『探偵はBARにいる』シリーズなどの橋本一で、北斎の青年・壮年期を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じている。

 北斎の版元の蔦屋重三郎(阿部寛)、北斎の盟友・柳亭種彦(永山瑛太)との関わりを中心に、喜多川歌麿(玉木宏)、東洲斎写楽(浦上晟周)、滝沢馬琴(辻本祐樹)も登場するこの映画は、北斎を反権力の人として描くために、都合のいい様々な“作り話”をちりばめているのだが、うまくだましてくれない、というか違和感を抱かされる。

 この映画は、某芸能プロダクションが製作しているのだが、そこの代表の夫人でもある河原れんが企画し、脚本を書き、所属する俳優を使い、自身が北斎の娘のお栄を演じている。多分、そこが違和感を覚えさせられる大きな要因なのだろうと思われる。

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【インタビュー】『水上のフライト』中条あやみ

2020-11-09 08:01:52 | インタビュー

 交通事故で二度と歩けない体になった元走り高跳び選手の藤堂遥。彼女がカヌーと出会い、周囲の人々に支えられながら、新たな夢を見つけていく姿を描いた本作で、遥を演じた中条あやみに話を聞いた。

 競技や練習の場面も、スタンドインを使わずに、ほとんど自分で演じたというのだから、なかなかの根性の持ち主だ。11月13日公開。

「私の中でも、人生を変えてくれるような作品になりました」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1246148

『水上のフライト』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/72fd0668a7a219c192d9096784ebc2ee

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『家族ゲーム』

2020-11-09 07:32:46 | ブラウン管の映画館

『家族ゲーム』(83)(1983.6.28.新宿ヴィレッジ2)

 沼田家の次男・茂之(宮川一朗太)は、高校受験を控えた中学生。優秀な成績で一流高校に入学した長男・慎一と比べられ、鬱屈とした日々を過ごしている。そんなある日、吉本(松田優作)という風変わりな大学生が、家庭教師として沼田家へやって来る。

 現代の家庭に内在する様々な問題が描かれる。例えば、子どもの受験のことしか頭にない親(伊丹十三、由紀さおり)、無気力な子どもたち、考えていることが皆バラバラで、一人一人がわがままで、全くまとまりがない家族の姿…。

 まさに現代の典型ともいうべき、こんな家庭の中に、全くの部外者を放り込んで嵐を巻き起こす。いわば優作演じる、この部外者=息子の家庭教師は、昔で言えば『ピーター・パン』(53)『シェーン』(53)、今風に言えば『E.T.』(82)的な存在だ。

 ただ、この男は、スーパーマンでもなければ宇宙人でもない。少々変わってはいるが、普通の人間であって、彼の使命は、出来の悪い教え子を合格させることなのだ。ここには憧れの対象となる『シェーン』のようなカッコ良さも、『ピーターパン』や『E.T.』のようなメルヘンもない。彼は甚だ現実的な存在なのだ。

 監督の森田芳光は、この寒々としかねないストーリーを、笑いの中で展開させている。出演者たちの好演も相まって場内は笑いの渦。だが、笑っているうちの何人かは、自分が映った鏡を見て笑っているのだとも言える。森田の鋭さが光る。

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