「KyodoWeekly」10月26日号から「“音”が主役のドキュメンタリー映画」 共同通信のニュースサイトに転載。
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2020-11-24_3342588/
『ナイルの宝石』(85)(1989.4.15.)
このところ、アメリカ映画も日本にならって? やたらとシリーズものを作っているが、時折オリジナルを超えるものを作ってしまうあたりが、さすがはハリウッドだという気がする。
この映画も、前作『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』(84)よりは、多少落ちるものの、ヒロイン、キャスリーン・ターナーの魅力と、脇役のダニー・デビート、アブナー・アイゼンバーグたちが醸し出すおかしさがうまくかみ合って、なかなか面白い映画に仕上がっていた。
「ロッキー」や「ランボー」シリーズのように、オリジナルの良さをどんどん壊してしまうシリーズものは困るが、この映画や「インディ・ジョーンズ」シリーズのように、面白さを保ったものならば、飽きるまで作ってもらってもいい。
このシリーズの創作者は、女流脚本家のダイアン・トーマスだが、彼女はこの映画の脚本を執筆中に、事故でこの世を去ったとのこと。フィリップ・ド・ブロカを目指していたという若き才能が失われたことは、惜しみてもなお余りあるものがある。