『アルカトラズからの脱出』(79)(1983.11.6.日曜洋画劇場)
1960年。脱獄不可能とされるサンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島の刑務所に、脱獄の常習犯フランク・モリス(クリント・イーストウッド)が収監される。フランクは冷酷な所長のウォーデン(パトリック・マクグーハン)と対立するが、大胆不敵な脱獄計画を企てる。
イーストウッドとの名コンビで知られるドン・シーゲル監督が、実話を基に描いた刑務所もの。絵描きのドク(ロバート・プロッサム)、ネズミをペットにしているリトマス(フランク・ロンジオ)、黒人のイングリッシュ(ポール・ベンジャミン)、フランクと共に脱獄するチャーリー(ラリー・ハンキン)、クラレンス(ジャック・チボー)、ジョン(フレッド・ウォード)ら、渋い脇役たちの存在も見逃せない。
アルカトラズ刑務所を舞台にした映画には、実際に起きた刑務所内の暴動を基に、バート・ランカスター主演で描いた『真昼の暴動』(47)、同じくランカスターが、収監中に鳥類の権威となった実在の囚人に扮した『終身犯』(62)、アルカトラズを閉鎖に追い込んだ囚人と弁護士との友情を描いた『告発』(95)、アルカトラズ島を占拠したテロリスト集団との闘いを描いた『ザ・ロック』(96)などがある。
ところで、この映画の中に、こんな面白いやり取りがあった。古参の囚人が新入りのフランクに「How are the Brooklyn Dodgers doing?=ブルックリン・ドジャースの調子はどうだい?」と聞くと、フランクが「Moved to L.A, two years ago=2年前にロスに移ったぜ」と答える。あ然とする古参…。ドジャースがロサンゼルスに移ったのは1958年だから、これはまさにタイムリーな話題であり、アメリカでの野球の身近さを示すシーンとして印象に残った。