田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『シャラコ』

2021-08-15 16:47:52 | 映画いろいろ

『シャラコ』(68)(1973.1012.ゴールデン洋画劇場)


 1880年代のニュー・メキシコ。ヨーロッパから狩猟のためにやって来た貴族たちがインディアンの襲撃に遭う。そこにインディアンとの混血で元軍人のシャラコ(ショーン・コネリー)が現れる。

 コネリーをはじめ、西部劇が全く似合わないキャストを使い、残酷描写などでマカロニウエスタンの影響を感じさせる、イギリス製の珍品西部劇。監督はエドワード・ドミトリク。

 BS-TBSで珍しく吹き替え版を放映していた。約50年ぶりの再見なのでほとんど覚えていなかった。とはいえ、今見ると、この国際色豊かな顔触れはなかなか面白い。

 コネリー(スコットランド)とオナー・ブラックマン(イングランド)は『007/ゴールドフィンガー』(64)で共演し、スティーブン・ボイド(アイルランド)とジャック・ホーキンス(イングランド)は『ベン・ハー』(59)で共演している。

 その他、ブリジット・バルドー(フランス)、ペーター・ファン・アイク(ドイツ)、アレクサンダー・ノックス(カナダ)、バレリー・フレンチ(イングランド)、ジュリアン・マティオス(スペイン)という布陣。

 黒人のウッディ・ストロードがアパッチ・インディアンを演じているのも妙だ。でも、『続・荒野の七人』(66)でチコを演じたマティオスとの再会はちょっとうれしかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ストックホルムの密使」岡崎栄・昭和三部作その2

2021-08-15 09:56:03 | テレビ

「ストックホルムの密使」(95)

 太平洋戦争終戦間際にストックホルムの日本海軍武官・大和田(勝野洋)が、米国の原子爆弾使用とドイツ降伏3カ月後にソビエトが対日参戦するという情報を得る。

 大和田は、密使として賭博師の森四郎(永澤俊矢)と亡命ポーランド人将校のコワルスキ(イーゴリ・ワシレンコ)を日本に送る。物語は、密使の活躍を武官夫人(真野響子)が後年回想する形で進行する。

 佐々木譲の原作は、『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』と併せて“第二次大戦三部作"と言われる。その原作を読んだときに、「エトロフ遥かなり」にも登場した秋庭保(大橋吾郎)や磯田茂平(秋野太作)は同じキャストでのドラマ化を望み、それはかなったが、永澤俊矢と沢口靖子も別の役で現れたので、両作の連続性を感じることができた。そこは「エトロフ遥かなり」に続いて演出・脚本を担当した岡崎栄の力が大きいのだろう。

 どちらも、史実とフィクションを巧みに融合させ、実在と架空の人物が相まみえ、歴史ドラマとしても冒険ドラマとしても面白く見られるところが最大の魅力だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「エトロフ遥かなり」岡崎栄・昭和三部作その1

2021-08-15 08:32:08 | テレビ

「エトロフ遥かなり」(93)

 昭和16年、日米開戦前夜。米海軍諜報部のスパイとして日本に送り込まれた日系アメリカ人のケニーこと斉藤賢一郎(永澤俊矢)は、真珠湾攻撃の機密情報を求めて、単身エトロフ島に潜入する。島で駅逓を営む岡谷ゆき(沢口靖子)は、賢一郎の正体を知らないまま、彼と恋に落ちるが、憲兵の磯田(秋野太作)が賢一郎を追っていた。

 演出・脚本は岡崎栄、音楽は渡辺俊幸、原作は佐々木譲の『エトロフ発緊急電』。第二次大戦下での一人のスパイを巡る追跡劇、この非情なスパイが最後に孤島に住む女と情を交わしたことで追いつめられるところなど、設定がケン・フォレットの『針の眼』とよく似ている。

 とは言え、従来の第二次大戦を背景にした日本の映画やドラマは、戦争の悲惨さのみが強調され、広がりに欠けるところがあったが、この原作とドラマは、戦争に対する憎悪を根底に持ちながら、追う者と追われる者の対立劇として、一種の冒険娯楽の要素を含んでいるところと、少数民族やマイノリティの視点を取り入れた点が斬新だった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「BSシネマ」『少林サッカー』

2021-08-15 07:47:27 | ブラウン管の映画館

『少林サッカー』(01)

 “黄金の右脚”と呼ばれたサッカー選手ファン(ン・マンタ)は、チームメイトの陰謀で選手生命を絶たれる。20年後、不遇の日々を送るファンの前に、少林拳を世に広めたいと願う青年シン(チャウ・シンチー)が現れる。シンの抜群の脚力にほれ込んだファンは、自らの夢をシンに託し、シンと共に少林拳の達人を集めたサッカーチームを結成する。

 監督・脚本もチャウ・シンチー。ユニークな登場人物をはじめ、ワイヤやCGを使い、カンフーアクションとサッカーを融合させた試合の場面が楽しい。

【ほぼ週刊映画コラム】Jリーグの再開を願いつつ、サッカー映画を見よう
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/17883c94a61344bae510a275120a72f5

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』

2021-08-15 07:24:28 | 映画いろいろ

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(15)

 ダバイ号に乗って北極航路探検に出掛け、行方不明になった祖父を捜すため、北極点を目指す旅に出た14歳の貴族の子女サーシャの冒険を描いたフランス・デンマーク合作による長編アニメーション。

 9月公開の『カラミティ』のレミ・シャイエ監督へのインタビュー準備のため、日本では19年に公開されたこの前作を見てみた。

 どちらも舞台は19世紀。広大な自然を背景にした、少女が主人公の冒険と旅の物語であり、ヒロインを男の世界に飛び込むジェンダーレスな存在として描くという共通点がある。

 そして「ジュール・ベルヌの世界をほうふつとさせる」という批評を目にしたが、確かに冒険譚としてなかなかよくできていると感じたし、ロシアの話やアメリカ西部の話をフランス語で語る違和感も、慣れてくるとかえって面白い味になると思った。

『カラミティ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b9ecfa801c8b9bf56011a4245d67649c 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする