「大地の子」(95)
第二次大戦後、中国残留孤児となった陸一心(ルー・イーシン)の波瀾万丈の半生を描いた山崎豊子の原作をドラマ化。
激動の日中近代史を背景に、主人公がたどる数奇な運命、さまざまな人々との出会いと別れなどが描かれた力作。何と言っても、陸一心役の上川隆也の中国語を駆使した頑張りが一番だが、それに勝るとも劣らない中国側の俳優たちのうまさにも目を奪われた。
養父・陸徳志役の朱旭の年齢ごとの見事な演じ分け、背中で見せる哀愁、優しさと厳しさをにじませる養母役の呂中、一心の妻となる江月梅役の蒋雯麗の可憐で清楚で凛々しい美しさ、一心に日本語を教える日本出身の華僑・黄書海役の薄宏の不思議な存在感などは新鮮ですらあった。
そして、佐々木譲原作の「エトロフ遥かなり」「ストックホルムの密使」に続く、岡崎栄のグローバルな視点を持った脚本と演出、渡辺俊幸の音楽も素晴らしかった。