『プリティ・リーグ』(92)
彼女たちの誇りと勇気について
この映画の原題は「彼女たちのリーグ」。第二次大戦中に実在した今は幻の女子プロ野球リーグを扱った珠玉のスポーツ映画です。こうした埋もれた話をきちんと掘り出してきて再評価するところが、いかにもアメリカ的でいいなあと思えますし、アメリカ野球のすそ野の広さを感じさせます。
スポーツ映画の一番の見どころは、何と言っても試合の場面ですが、この映画では、ジーナ・デイビス、ロリ・ぺティ、ロージー・オドネル、マドンナら、女優たちがきちんと野球をプレーしていて素晴らしいです。監督も女性監督のペニー・マーシャル。まさにウーマン・パワーの炸裂といった感じです。
とは言え、トム・ハンクス扮する監督、デビッド・ストラザーンのマネージャー、ジョン・ロビッツのスカウト、脚本を書いたロウエル・ガンツ&ババルー・マンデルと、男性陣も負けてはいません。その意味では、男女どちらかの側に立つこともなく、とてもバランスの取れた映画だとも言えます。
かつての“本物の選手たち”が登場するラストシーン。バックにはマドンナが歌う「ここが私のプレーグラウンドだった」が流れます。この映画のテーマを的確に表した名曲です。この映画は、コミカルな味わいの奥に女性差別に対する怒りを潜ませ、選手たちの誇りや勇気、芯の強さを見事に描き出しました。