スマホを取り出して、LINEしようかと思ったけれど、早く来てって催促しているみたいで嫌だな。ちゃんと自制しなければ。
気持ちを落ち着かせたくて、音楽のプレイリストを開く。最近の推しは、藤井風。
囁くような声にのせるメロディと言葉は、勇気をもらったり、慰めてもらったり、なにかに気づかせてくれたりするから好き。
湿った鉄の匂いのする駅の高架下から吹き抜けてくる冷たい風は、ハーフコートを着てても身を縮めるほど寒く、洩れるため息まで白くなる。
そういえば、夜には雪が降るって天気予報で言ってたな。
寒さに負けず、じっと待つ。スマホの時計は、12時45分。LINEの着信。加持君からだ。ドキドキしながらLINEを開く。
「駅につきました」
ドキドキ。すぐに「オブジェの前にいます」と返信すると、「り」のスタンプが送られてきた。
改札口を見つめる。グレーの無地のトレーナーの上に、ちょっと着古した、紺色のノースフェイスのダウンジャケットを羽織り、黒いストレートのデニムに白いアディダスのスニーカーを履いた、カンゴールのリュックを背負っている短髪の男性が加持君だ。
私服はいつもほぼ同じだけれど、飾り気のない自然体なセンスが好き。
私に気づいた彼。目があう。思わず大きく手を振る。彼は照れくさそうに軽く手を挙げると、こっちに向かって駆け出した。
気持ちを落ち着かせたくて、音楽のプレイリストを開く。最近の推しは、藤井風。
囁くような声にのせるメロディと言葉は、勇気をもらったり、慰めてもらったり、なにかに気づかせてくれたりするから好き。
湿った鉄の匂いのする駅の高架下から吹き抜けてくる冷たい風は、ハーフコートを着てても身を縮めるほど寒く、洩れるため息まで白くなる。
そういえば、夜には雪が降るって天気予報で言ってたな。
寒さに負けず、じっと待つ。スマホの時計は、12時45分。LINEの着信。加持君からだ。ドキドキしながらLINEを開く。
「駅につきました」
ドキドキ。すぐに「オブジェの前にいます」と返信すると、「り」のスタンプが送られてきた。
改札口を見つめる。グレーの無地のトレーナーの上に、ちょっと着古した、紺色のノースフェイスのダウンジャケットを羽織り、黒いストレートのデニムに白いアディダスのスニーカーを履いた、カンゴールのリュックを背負っている短髪の男性が加持君だ。
私服はいつもほぼ同じだけれど、飾り気のない自然体なセンスが好き。
私に気づいた彼。目があう。思わず大きく手を振る。彼は照れくさそうに軽く手を挙げると、こっちに向かって駆け出した。