硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語。106

2021-08-30 21:06:50 | 小説
どうしよう。どうやって伝えよう。嫌われることを覚悟してでも、誠実に伝えなきゃ。ここで逃げてしまったら、絶対に後悔してしまう。
でも、どう書き出していこうかなぁ・・・・・・。

(報告します。無事先輩に告白できました。でも、上手くいきませんでした。なぜなら、先輩はゲイな人だったからです。そのような告白をされて、最初はどうしようかと思いましたが、先輩の話を聞いているうちに、私の世界は狭いんだなと感じました。今のままではいけないんだなとも思いました。それで、きっぱりとあきらめが付いたかと言えば、そうでもないですけど、少しだけスッキリしました)

これでいいかな。間違ってないかな。もう一度読み返してから送信だな。

「うん。これでいい。じゃあ・・・・・。届け、私の想い!」

祈りを込めて、青い紙飛行機をタップする。ドキドキする。きららは、なんて返信してくるかな。なんか、お腹が痛くなってきた。

ピヨピヨ! 来たっ。

(失ったものも大きいけれど、得るものが沢山あったみたいだね。綾乃の言葉に、勇気をもらえたよ)

おおおっ。きらら、なんて優しいの。この後の展開が苦しくなっちゃうじゃん。
ここは丁寧に、返信。

(こちらこそ背中を押してくれてありがとう。けど、ヒドく傷ついてますwww)

(ゲーテ曰く、泣いてパンを食べた者でなければ、人生の本当の味は分からない)

ゲーテ!? 詩人だったっけ。

(??)

(ごめん。つい)

きらららしいなぁ。

(wwwwwww)

(ゲーテって言う人の言葉なんだけど、ふいに浮かんで)

(きらららしいよwww 何となく意味は分かるから大丈夫だよ)

(ごめん)

泣いてパンを食べた者って、今の私の事なんだろうな。その言葉を引き出してくるなんて、さすがきらら。
ここは、私も、背伸びしておかなくちゃね。