硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語。84

2021-08-05 21:18:40 | 日記
でも、私がいろんなことを次から次へと話していても、彼は、ちゃんと興味を持って頷いてくれ、自分の理解が及ばない事には、きちんと質問をしてくれる。
時々鋭いツッコミに慌てふためくけれど、彼と共に考えながら話していると、相互理解が深まってゆく気がする。
もちろん、ほとんど中身のない話でも、面白おかしく話すと、笑ってくれたりもする。
加持君は本当にいい人だし、人生を共にするパートナーとしても最高の人だと思う。

東口のガストには、少し遅いお昼を摂っているお客さんが数人いた。大学生くらいの女性店員さんが、私達に気が付くと、「お二人様ですか? 」と尋ねてきた。
加持君は丁寧に「二人です。」と答えると、店員さんは、フロアを見渡し、「開いているお席へどうぞ」と、案内をしてくれた。
私達は、息を合わせたように、「どこにしようか? 」と、聞き合ってしまって、照れ笑いが溢れた。店員さんも微笑んでいる。
ドキドキしながら、機転を利かし、「加持君が落ち着く場所なら、どこでもいいよ。」と、言うと、彼は、少し照れながら、「窓の近くはなんか恥ずかしいから、奥の席でいいかな? 」と言った。

「じゃあ、あの奥の席へ行こうよ。」

私は開いている席を指さすと、彼も、「うん。いいね。」と、頷いてくれた。

彼の背中を追いかけるように歩き、席に着き、上着を脱ぐと、メニューに手を伸ばし、「はい。どうぞ」と言って、加持君に渡した。
彼は、「ありがとう。お腹空いたね。」と、言いながらメニューを開き、「好きなの注文していいよ」と、言ってくれたけれど、あまりお金を使わせてはいけないなって思って、何がベストなのかを懸命に考えた。