硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語。93

2021-08-14 19:58:10 | 日記
「凄くおおまかに説明したけれど、歴史って、時の権力者の都合のいいように改ざんされているから、正直な所、真実は分からない。でも、差別の歴史は、間違いなく、差別を受ける者が権力者の都合のいいように翻弄された歴史であるから、その時間の中では、差別を受けてきた人たちの中にも、権力者に対して、反骨精神を抱き、反発する人も多くいた。それは、ある面では、差別をなくすための運動に繋がってゆくんだけれど、逆に、差別が複雑化した原因でもあるんだ。それはさっき説明したように地区って、大昔から差別の対象として存在し続けていたから、地区以外の人達は、そこで生活しているすべての人を、良く理解しないまま、ちょっと違う人達なのだ、という認識が出来上がっていた。それを逆手にとって、恐怖という力で、利益を得ようとする人たちが出てきたり、地区出身でもないのに地区出身者だと名乗り、見えない恐怖で利益を得ようとする人も出てきてしまって、悪いイメージばかりが浸透していってしまったともいえるんだ。そして、逆に、制度によって改善がなされるようになると、悪いイメージの方が強いから、一部の人達からは、なぜ、あんな人達を優遇するんだって、批判される事にもなった・・・。差別の起源が、人種起源なのか、職業起源なのか、食や文化の違いからなのか、宗教的思想の影響なのか、経済的思想なのか、被支配階級の分裂政策の為なのか、はっきりはしないけれど、差別をなくそうとするなら、タイムスリップして、最初に、差別化を図った権力者を正すしかないかなって思うんだよ。」

普段はあまり話さない加持君が、一気に、それも熱く語ってくれて、とても驚いたけれど、もっと、日本史をしっかり勉強しておけば、彼の話をより深く理解できたのにと、今更ながら後悔した。