硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語。97

2021-08-20 20:10:46 | 小説
(あれから、いろいろ考えたんだ。好きな人にも告白したよ。それで、分かったのは、川島君はやっぱり友達なんだよ。イイヒトだし、話してても楽しいから、つき合ってもいいかなって、ちょっと思った。でも、好きだった人と、話をしてみて、気付いたんだ。私、まだ、知らない事が多いって。わたし頭悪いでしょ。だから、今、受験に専念しなければ、その先の世界を知ることが出来ないんじゃないかって。それに、恋愛と勉強を両立できるほど、器用じゃないから、川島君の気持はすごくうれしいけど、今の私じゃ、川島君の気持に応えられない。だからごめん。)

なるほど。と、しか、言いようがない。想定内の事だけれど、胸は痛い。でも、平川綾乃は今までとは違って、しっかり前を向いていて、バスケの試合の時みたいに、一生懸命ゴールを目指している。
そんな彼女の足を引っ張ってはいけない。と、自分に言い聞かせる。けど、少しだけ抵抗してみたい。

(胸が痛い)

(本当にごめんなさい m(__)m )

ああっ、これは本当に無理なんだなぁ。

(うそだよwww)

(いじわる)

(平川の気持ちはよくわかったよ。僕たちはまだ、何も知らない。それはすごく共感できる。だから今は、お互い、受験にベストを尽くそう。)

(ありがとうございます。)

(なんで急に他人行儀なんだよw)

(いや、ここはきちんとしておかなければと思いまして)

(www)

(バカにしてる? )

(してないよw )

(分かってたよ。川島君そんな人じゃないもの)

ああっ、こういう所、キュンってするんだよなぁ。ずるいよ平川。

(大学に合格したら、マックでお祝いしよう)

(そういう時は、リストランテ・アサヒナで、ディナーでしょwww)

(お金ないのを知ってるくせに )

(うそでーす! )

この距離でいい。平川綾乃は、もう、次のゴールを目指してるんだから。
僕も、告白出来て、少しもやもやが晴れた。

(じゃあ、マックでお祝いね。スベったら、知らないから)

( (´・ω`・)エッ? )

(知りませんよwww とにかくベストを尽くせ! )

(分かった。ベストを尽くすよ。色々ありがとうね)

(うん。僕も良い経験になった。じゃあ、再び数学の勉強に没頭するよ)

(おおおおおっ。まじめーww)

(うるさいよwww)

(おじゃましましたwww じゃあ、また学校で)

(うん。平川も参考書、開けよ! )

( (‘’◇’’)ゞ )

( (`・ω・´)ゞ )


携帯を元の場所へ戻し、天井を見上げて大きなため息を吐く。もう一度、これでいい。と、自分に言い聞かせ、シャーペンを手に取る。

「整数cが5以上の時、pはqである為の必要条件ではない。なぜならば・・・・。」

うん? なるほどな。僕が友達以上と思ってても、それが、恋人になる為の必要条件ではなかったんだな。