硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語。91

2021-08-12 18:19:23 | 日記
「でも、その技術は武器製造に直結していたから、内戦が本格化すると、戦国大名たちは、戦力で優位に立つ為に、彼らを雇うことになるんだけれど、その中でも腕のいい職人たちは、特に優遇されることになるんだ。そして、いつ終わるか分からない内戦が続いていたから、職人さんも増えていって、いつしか、コミュニティが出来て、それを権力者たちが、また固定化したんだ。
皮肉なもので、戦国時代の到来は、大勢の人が殺し合う世の中だから、貴族と呼ばれる人たちも、危険にさらされることになり、職人さん達を「ケガレ」と、忌み嫌えば、武器の調達ができなくなるから、武士もそれを許さなかっただろうし、人が殺し合い、強奪や搾取が当たり前の日常では、動物を殺生する事を、「ケガレ」と、言って、差別する理由もあいまいになったんじゃないかと思う。でも、大坂夏の陣で徳川が豊臣を滅ぼして、内戦が終息すると、武器や鎧を作っていた職人さん達は仕事にあぶれることになってしまって、仕事がなくなると、生活が難しくなって、新たな仕事を求めて、コミュニティを離れる者も出てきて、それぞれの土地で、また形成されることになったらしいんだ。もちろん、権力者によって強制的に移され、固定された人たちもいるんだ。
そして、徳川幕府は、国を安定させるために、確実に年貢を摂り、武器を持たさず、武士と他の身分の違いをはっきりさせる、封建的身分制を確立させたんだけれど、町人や商人、農民が反抗しないように、さらに下の階級を残し、それぞれに、役割を与えたらしいんだけど、差別を受けてきた人たちの中には、町民や農民が、「理解できなかったり、嫌ったり、新たに創造したりした、あらゆる仕事」を、引き受けていたから、町人や農民よりも、労働と対価を交換する機会も増えて、個人的なスキルによって、財を成したり、権力者から優遇される者も現れ、武士や町人よりも、豊かな暮らしが営めるようになった。でも、その反面、差別する事で優越感に浸っていた者の中には、裕福になった「ケガレ」を妬んだ人もいただろうと思う。それは、中世ヨーロッパにおけるユダヤの人達に似ているかもしれないね。」