八十八夜の新茶
5月4日に故郷の幼なじみから、新茶のぐり茶が届きました。
自園のお茶っぱを自分の家の製茶工場で製造、販売している自園自家製の茶農家。
富士山麓には、このような小規模なお茶工場が沢山あります。
元々沢山の茶原を所有していて、製茶工場を建設して、製茶の機械を購入出来る、経済的に豊かな家が多いです。
自家消費分だけの生葉を生産している兼業農家や、耕作面積の狭い茶畑しか所有していない家では、
生葉を買い取って、茶葉を生産している大きなお茶工場や、共同で経営しているお茶工場等に加工を依頼したり、
生葉を売って、生計をたてています。
生葉とは、文字通りお茶っぱの生の状態。
お茶っぱを摘み取って、加工した茶葉になる迄のほんの短い間だけ生葉と呼びます!
正しく、生物。
摘んでから、直ちに加工しないと、真っ赤や、真っ黒に変色してしまいます。
生葉は呼吸をしていますので、蒸れるととても熱くなって、お茶っぱとして使い物にはならないのです。
フォークと呼ばれる食事用のフォークと同じ形をした工事用スコップ位大きなフォークで絶えず生茶をかき混ぜて、葉焼けを防ぎます。
摘まれて、お茶工場に集められ、計量を終えて、工場の床に敷かれた生葉を、お茶士さんは両手で汗みずくになってかき混ぜていました。
ナイフもフォークも縁の無い食生活を送っていた田舎のお茶工場の娘として生まれた私は、子供の頃、フォークとは、お茶工場で使う道具の事だと思っていました。
お茶工場の工程は沢山ありますが、蒸しは最初の工程です。
深蒸し茶等と言う言葉を良く目にすると思います。
蒸気で生葉を蒸すのです。
とにかく熱くて、大変な作業ばかりです。
自園自製のお茶工場の人間は、お茶の時期にはとても忙しくて寝ている暇もありません。
一日一日お茶の値段が下がって行くからです!
「みりぃいとにサッサとやんにゃぁと、ダメじゃあ」
「 みりぃいとに摘まにゃあと、コワくなっちまうじゃあ」
『みるい』と言う静岡県独特の方言
みりぃ新芽 =みるい新芽 =新鮮で軟らかい新芽 コワい=硬い ※おこわ=赤飯
みりっこいいとに =みるいうちに =軟らかい間に
まだみりぃいとに摘まれたお茶っ葉は、生命力が漲っていますので、飲むとこちらも生命力が回復して来るような気がします。
香りを楽しみながらとても美味しく頂きました。
御近所のお年寄りにもほんの少しお裾分けしてとても喜んでもらいました。
寸暇を惜しむ多忙中貴重な新茶を、私どもの所まで送って頂きまして、本当にありがとうございます。
どうぞ無理をなさらずに、御自愛下さいませ。