お彼岸。どのお家の墓も生花がいきいきとしていた。父の祥月命日とあわせ今月2回目の墓参りをした。
墓石の周りを掃除しているとき、大きなクロアゲハ蝶が1羽飛んでいた。先日庭で見たのと同じように大きな蝶だった。特に気にもしないで掃除を済ませ、花なども入替え手を合わせた。火の気のないことを確認、帰ろうと立ち上がり振り返った。
2羽のクロアゲハ蝶が仲良く舞っているのが目に入った。幾百回墓参りはしているが初めて目にした。ふと、千の風に誘われ両親が舞っている様に思えた。真青な秋の空を背に舞う2匹の蝶、黄泉の世界でも仲良くやっているので安心してくれ、と語りかけているように感じた。
その舞は、入院する以前の元気な様子を彷彿するようだった。
しばらく見ていた。やがて千の風に押し流されるるように飛び去り立ち木の向こう側で見えなくなった。その時吹いた風、一瞬だがさわやかな心地よい風に感じた。
額の汗を拭ったとき、本当に残暑厳しい日の墓参りだったと我に返った。
(写真:抜けるように蒼い空と色づきはじめた柿木)