各地でクマに遭遇した報道がある。冬眠準備のため食料を求めて人里へ現れるのだろか。襲われ負傷された人も多いが、その時の恐怖を思うと背筋に寒さを感じる。クマが人里に現れる原因をクマ側から眺めた文章があった。人が山林や山裾の手入れを怠っている、出荷できない野菜を畑に放置している、町中には食べ残しのゴミが多い、などなど恐れる側の反省点をクマにいわせている。クマだけではないイノシシもにたような状況かもしれない。
冬眠は冬季に運動や摂食をやめ、物質代謝のきわめて不活性な状態に入る現象という。植物が生育を止めることも冬眠というそうだ。人にはなしえない行為、自然界の摂理といえばそれまでだが、餌のなくなる時期に対応する術を誰が授けたのだろう。摂理とは「宗教で、神が人の利益をおもんばかって、世の事すべてを導き治めること」らしい。冬眠も人のためになすことなのだろうか。
地方の狭い田んぼでの稲の収穫、見ていると人力にたよる最終工程も多そうだ。そんな一つに脱穀がある。田の隅で脱穀をされている。もみ殻が小さな富士山の形を作る。どこから入り込んだのかアマガエルが1匹、その様子を眺めている。カエルに限らず冬眠の姿を見たことはないが、温かいもみ殻を冬眠の場所に選ぼうとしているのだろうか。いやいや、ここはやがて取り除かれるので危険だろう。
明け方の気温は放射冷却で10度を切るくらいまで下がり始めた。景気回復を願って暖かい衣類のCMが流れる。身に張り付けたような衣類の数々が画面の中を跳ね回り、その素晴らしさを強調している。聞きなれた重ね着や着ぶくれなんて言葉は死語となっていくだろう。冬眠する動物たちは着のみ着のままで穴や土の中で暮らす。その真似は出来ないのでそろそろ冬支度を始めるころになった。