
岩国の竹林、錦帯橋上流右岸のうっそうとした竹林は観光客の目を引いていた。これは、藩政時代、水害を防ぐために河川の堤防に植えられた。錦帯橋を流失させた台風襲来でも横山地区を守った竹林と子ども心に記憶している。そんな竹林は、京都の嵯峨野、岐阜の揖斐川と並んで日本3大美竹林の一つに数えられている。
その竹林も護岸工事や駐車場、河川敷運動公園などの諸工事でその姿を変えた。散歩途中に千石原地区で熊本から観光で訪れたという夫婦から「城山麓の竹林をもう1度見ておこうとやってきたが、竹林が消えているので驚いた」と声を掛けられた。その残念そうな話し方は今も鮮明に目の奥に残っている。私は「すみません」と頭を下げた。今も3大美竹林の一角にあるのだろうか。
竹林ボランティアのグループが手入れされているが、壊れた竹林は戻らない。ただ、観光に寄与する一方、その竹に困る人らも多い。竹の繫殖力は凄く、手入れしないと山林域や耕作地にもはびこる。山口県民は有期ではあるが森林税を年額500円納めている。これの使途に竹林への配分はあるのだろうか。
竹も山林と同じで手入れが必要になる。そこで伐採された竹を有効活用するグループがある。イベントや夏休みには子どもらを主な対象にして、ノコやナタ、小刀などを使って竹細工指導をする。少しでも竹に興味を持ってくれればの願いを込め孫やひ孫に接するように教える。竹を活かした手作りに子どもらは嬉々として作品を持ち帰っていく。いつか竹を思い出してくれることを願う。