収穫前の枯れた蓮の姿を撮っていたら「枯れているこれは何ですか」と聞きなれないイントネーションで声を掛けられた。枯れた茎の下にレンコンがあることを話すと、初めて見たと枯れた茎を背景にして連れと自撮りで旅の1枚を残していた。
岩国市の南部には広大な蓮田が広がり、日本五大レンコン産地ととして知られている。その糸を引くもっちりとした粘りなのにシャキシャキした歯ざわりは誰にも親しまれ、お節には欠かせない食材の一つになっている。この季節になると歳暮品として予約が始まっている。レンコンの収穫はこれから本格的に始まる。
岩国レンコンは室の木の篤農・村本三五郎が備中種を門前に植えたことから始まり、研究を重ねいい品質となった。1811(文化8)年藩営として始まった古いが由緒ある歴史を刻んで今日に至っている。一般的にレンコンの穴は8つだが、岩国産は9つある。これは藩主「吉川家」の蛇の目九曜の紋と同じで藩主を喜ばせた。
蓮の根茎を「レンコン」という。「蓮は泥田の中に育ちながら濁りに染まぬ花の気高さは蓮華といって極楽の象徴」と解説がある。盆のころになると宝珠のような蕾は白色や淡紅色の大輪となり、お盆の供花として出荷される。枯れた茎の姿は蓮の花の美しさからは想像できないが、花の名残の真っ白なレンコンがまもなく日の目を見る。