陸橋の階段を上ったとき、そばの桜の木から風に吹かれて2枚の葉が舞い始めた。どこへ舞い落ちるかと見ていた。1枚はこともあろうに下に見える狭い樋に入った。あんな狭い場所でなくてもと同情したが、そこにはすでに無数の先着の仲間が樋一杯に長い列をなしている。もう一枚は軒下へうまく舞い降りていった。
これから本格的な落葉の季節。落葉といえば、風にふかれカサカサと乾いた音を残し舞って行く。飛ばされて行き止まり、逆の風に押し戻され、回る風に向きを変えられ、あてのない旅、さすらいの姿をイメージする。
樋に入った落葉は湿っているそこで風に舞わされる事はもうないだろう。ふと思い出したのは、家でゴロゴロする定年退職した後の夫を「濡れ落葉」と表現したが、列をなしている樋の落葉もそうなの、と問うてみたが、答えは聞こえなかった。
落葉を掃いて集める、集めた落葉を運ぶ、運んだ落葉を焚く、子どものころに経験したこうした一連の流を近くでも見かけなくなった。桜並木で落葉を集めている人に出会った。その量たるや生半可ではない。聞くと堆肥にすると教えられた。枯葉は大きな袋の中できっと喜んでいるだろう。
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