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野菜作りを趣味として楽しむ知人の広い菜園の中で野菜のあれこれを聞いた。作りを楽しむだけでなく、収穫したものをおすそ分けも趣味にしている人だ。畑を持たない者には土付きの新鮮な野菜を届けてもらえて嬉しい。
「トマトの苗は1本あればいくらでも増やせる」。苗1本から増やす方法は、脇芽かいてそれを挿して育てればいい。そうして次々増やす。家庭のプランター菜園なら十分すぎるほど収穫が出来る。そう話しながらそばのトマトから芽を1本かいでくれた。そういえば、そんな話を聞いたことがあると思いだす。
早速、素焼の鉢へ挿した。3日過ぎくらいからシャキッとした姿勢に変わり元気そうだ。根付きは間違いないだろう。これでトマトが収穫出来たら大儲けということになるが、それは取らぬ狸の皮算用と同じ、肥料や水やりの手抜き出来ない。
「芽」という字は新鮮でそこに何か夢が広がり成長する力を備えているように思う。芽が出る、芽を吹く、芽生えるなど努力した人の姿がそこに浮かぶ。かぎとられた一つの脇芽に花が咲き実がなり、そして食卓にのればその芽は喜んでくれるだろう。
いつかは脇役の一歩上に行きたい、誰もがそう思いながら鍛錬する。もし脇芽に実がなったらその存在感を示すことになるだろう。といっても人の手がかかる。脇芽に存在感を感じさせられたら、喜んでいいのかもしれない。挑戦だ。
(写真:貰ったトマトの脇芽が育ちそうだ)