
日本中の人が期待をこめて待っていた22年ぶりの金環食、各地で多くの人が観測しその瞬間に歓声をあげる姿が映し出された。驚きの喚声のようにも聞こえた。この時間の太陽の位置、我が家では隣家の樹木の向こうにあり観察はできないので、TVに頼ることと決めていた。
金環食の説明の中で国立天文台の人が「ベイリービーズ」について説明があった。その話に興味がわき、カメラを構えて中継をしっかり見つめていた。NHKの中継で午前7時33分ころ、金環食となる直前、太陽の右下にその現象、小さなビーズが点になったり繋がったり、また切れたりとする変化が、はっきり見えた。その時間は数秒間かと思える短い間だったが、10枚くらい撮れた。天文台の人も初めて目にした映像から新しい発見があるかも、そんな期待のこもるコメントがあった。ハイビジョン高速カメラの成果という。
ベイリービーズは、1836年5月15日の日食の際にこの現象を発見したフランシス・ビーズ氏にちなんで付けられたという。欠け際ぎりぎりに、月表面の凹凸の地形により光がとぎれとぎれに漏れているのを見つけ「輝くビーズの列のようだ」と表現したことに由来するという。今から180年近くも前、どのような観測機器を使われたのだろうか。
通勤途上のひと、早く登校した児童ら、通勤電車の窓から、あるいは船や飛行機など、見上げる場所取りには苦労苦心が見えた。次は6月6日の明け方には太陽・金星・地球が一列に並び、金星が太陽を横断するショーが見られる。これは見逃すと次は105年以上も先になるという。こちらは6時間近く続くというからのんびりできる。
金環食、目を傷めない方法で観測するうえでの注意点は早くから知らされていた。そんな中、絶対禁止のひとつにあったのが子どものころの主流だった手作りの観測器具。器具というほどではないが「透明ガラスを蝋燭の煤で真っ黒にした」ガラスの小片。使用禁止イラストでも大きな×印が付けられていた。あのころはいったいなんだったのだろうか。
(写真:正午のNHKニュースから)