私の育ての能力も知識もないことを承知の上で、ブログのハンドルネームをつけた「薔薇」を育ての親として私の知人に預けておいた、というメールを貰っていた。折々に気になりながらも「あの人なら大丈夫」と安心しきっているうちに薔薇の開花時期になった。
そんな里子に出ていた薔薇が、里親に連れられ我が家へ帰ってきた。初対面のそれは私の身長近く育っており、大きなつぼみを幾つもつけ、すっかり成人した薔薇だった。美しくても棘があるので気安くは触れないが、里親の愛情をたっぷり貰ったことが一目でわかる。養育費は改めて打ちあわせることにした。
里子でいた薔薇を見ながら「里親と里子」という報道特集を思い出した。特集は主に里親登録者がもっと増えて欲しいという内容だった。実の親の基で生活できない気の毒に思う子らの多いことも改めて知った。その子らの親代わりとなって養育する人を里親という。身近におられるのかも知れないが「里親・里子」という家族を知らないで過ごしている。
特集の中で里親・里子について、世間では蔑視や差別も多いことが進まないひとつの要因と指摘されている。一方で、実子が学齢になたっところで里親を始められた方もあるという。この親権を持たないで子どもを育てる里親の仕組みは日本には古くからあった。
児童擁護施設や乳児院などの言葉はニュースを知ったときに関心を持つが時間と共に薄れている。全国で何らかの事情で家庭で生活のできない子どもらが、約3万6千人という。里親と生活している子はこのうち1割にも満たないそうだ。いまさら里親になれる自信も力もないが、支援のできることがあれば手伝いたい。
立派に育って帰ってきた薔薇を見ながら、子どもを育てることを放棄しない親教育もまた必要なのかと考える。それまでは、少ない施設従事者や里親をされる人らへの理解を深め感謝することだと感じる。