a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

命をかけた言葉

2012-09-07 14:57:42 | 東京公演
「いのちをかけた言葉は、いのちをかけた行為を生む」
アーノルド・ウェスカーが『彼ら自身の黄金の都市』で、
主人公のアンドリューコバムの言葉として、書きつけたものである。

『大麦…』では、カーン家の一員ではない人間であり、
『ぼくは…』では、カーン家の一員となっている。
娘アダの夫デイブ・シモンズのこと。
まだまだアダが少女だったころ、
デイブは党活動の中心にいた。
そして、スペイン戦争に志願兵として参加していく。
スペインでの時間が彼をどう変えたのか。
そして、彼を待ち続けたアダがどう変わったのか。
2つの作品を通して見えてくる。

とくに『ぼくは…』は、デイブとアダの夫婦の物語。
社会主義は遠くにあるものではなく、
自分たちの手に届くであることを実践しようとした。
ロンドンから離れた郊外の田舎暮らし。
デイブの仕事場からは自分たちの住む家が見えていて、
アダや、子どもたちの姿を身近に感じながらはたくことができる。
働くということが生きるということである。
そのことは、ぼく自身もずっと考えてきたことだ。
演劇をして生きていくということと、
同じだと思う。

そしてこの家族の物語の結末が、
もちろん終わりではなく、
新たな一歩であるということが、
いま、この時代でこそ、
実感として迫ってくる思いである。


そんな、理論と知性、行動力を持った男デイブを演じるのは、
『大麦…』では、坂本勇樹。
全国の中高生から大きな支持を得ている
『ラリー ぼくが言わずにいたこと』の主演として抜擢されて以来、
着実に経験を重ねている。
旅公演の主演というものは、本当に大きなものを背負っていかなければならない。
まだまだ新人の彼は、少しずつ、その重さを実感している。
経験が少ないことが、旅ごとに彼の飛躍的な成長となって帰ってくる。
だから、今度も、彼には期待してしまうのだ。
さぁ、遠慮なく先輩たちに肉迫してほしい。

そして、なんといっても、今や劇団の中心で大車輪の活躍をしている公家義徳。

『ぼくは…』では、まさに自分の役割を自覚して、
稽古場を牽引している。
彼の原点が、俳優教室で上演した
『彼ら自身の黄金の都市』のアンドリュー・コバムだったというのは、
自ら公言している。
ウェスカーの書きつけた言葉の重みを感じ、
しっかりと根を張った覚悟でいる。
どうか、彼の生きざまを見逃さないでほしい。

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ウェスカー連続上演

アーノルド・ウェスカー/作 木村光一/訳

大麦入りのチキンスープ  入江洋佑/演出 
ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 志賀澤子/演出

2012年9/6~17
◆=大麦入りのチキンスープ
●=ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 
*=Low Price Day
※=アフタートーク
9/6木 19時◆
9/7金 19時●
9/8土 14時◆/※/19時● 
9/9日 14時●/※/19時◆
9/10月 19時◆*
9/11火 19時●*
9/12水 19時●
9/13木 19時◆
9/14金 19時◆
9/15土 14時●/※/19時◆
9/16日 14時◆/※/19時●
9/17月 14時●
開場は開演の30分前

会場:ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線武蔵関より徒歩7分)
全席自由

前売(一般)3800円/前売(学生)3000円
当日(同一料金)4500円
10日(月)と11日(火)はロープライスデー 2500円均一
2作品セット券(2作品セット)=6200円

☆★アフタートーク★☆
9月8日(土)14時・・・終演後
木村光一(演出家・翻訳) × 入江洋佑(TEE)

9月9日(日)14時・・・終演後
七字英輔(演劇評論家) × 志賀澤子(TEE)

9月15日(土)14時・・・終演後
川成洋(大学教授) × 入江洋佑(TEE)

9月16日(日)14時・・・終演後
山本健一(元朝日新聞記者) × 志賀澤子(TEE)


公演の詳細はHPへ
http://www.tee.co.jp/stage-shoukai-image/wesker/wesker.html

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