a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

絶対に泣いたりしちゃいけないんだ、ぼくたちは!

2012-09-05 16:16:28 | 東京公演
この家族の息子。ロニイ。
道化役でもあり、『ぼくは…』ではもう一人の主役とも言える。
理想主義に生きようと都落ちをした姉夫婦を、
冷やかし半分、照れ半分でからかいつつも、
実は最も希望を寄せ、信じ、
応援しているのだ。
『大麦…』の頭のシーンでは、まだ赤ちゃんだったりする彼は、
カーン家の血筋とも言えるのか、
資本主義社会に移ろうとする世界に、
なんとか反旗を翻そうとするのだが…。

1世代前運動である母たちの挫折を感じ、
自分と同世代の運動の実践をしようとした姉たちの挫折を見る。
余談だが、三部作のもう1本『根っこ』では、
このロニイの恋人が主役の物語だったりするし、
日本では翻訳の木村光一さんの演出で知られている『キッチン』(調理場)は、
ロニイが働く調理場の物語だったりする。

そんな彼は、ムードメーカーでもあり、
皮肉屋。
まじめすぎるとつい照れてしまう。
だからいつも、家族を茶化して、
本音をなかなか見せてくれない。
その割に、けっこう家族を見ていたりもする。
ロニイが叫ぶ。
たとえ、挫折や敗北を繰り返しても、
絶対に泣いたりしちゃいけないんだ、ぼくたちは…!!

どちらの芝居でも、
キーポイントプレイヤーといえるロニイ・カーン。
難しい役どころを、
今年劇団員に昇格した2人の新人が競演する。
『大麦…』では、篠原祐哉。

『目をさませトラゴロウ』ではみつばち役で、
身軽でアクロバティックな一面を見せてくれた。
そんな彼が、動きではなく、
言葉に込められた重さや、軽さ、
どんなロニイを見せてくれるのか。

そして『ぼくは…』では、雨宮大夢。

『ラリー ぼくが言わずにいたこと』や、
『目をさませトラゴロウ』にすでに出演しており、
学校公演やおやこ劇場公演など、
新人とは思えないような活躍を見せている。
周りがすべてが先輩という稽古場でもまれながら、
日々奮闘している。
純粋で、まっすぐな彼だが、
その殻をどう打ち破ってロニイを見せてくれるのかが楽しみだ。

2人には、
もっともっと、
高く高く、飛躍してほしいと願ってやまない。


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ウェスカー連続上演

アーノルド・ウェスカー/作 木村光一/訳

大麦入りのチキンスープ  入江洋佑/演出 
ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 志賀澤子/演出

2012年9/6~17
◆=大麦入りのチキンスープ
●=ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 
*=Low Price Day
※=アフタートーク
9/6木 19時◆
9/7金 19時●
9/8土 14時◆/※/19時● 
9/9日 14時●/※/19時◆
9/10月 19時◆*
9/11火 19時●*
9/12水 19時●
9/13木 19時◆
9/14金 19時◆
9/15土 14時●/※/19時◆
9/16日 14時◆/※/19時●
9/17月 14時●
開場は開演の30分前

会場:ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線武蔵関より徒歩7分)
全席自由

前売(一般)3800円/前売(学生)3000円
当日(同一料金)4500円
10日(月)と11日(火)はロープライスデー 2500円均一
2作品セット券(2作品セット)=6200円

☆★アフタートーク★☆
9月8日(土)14時・・・終演後
木村光一(演出家・翻訳) × 入江洋佑(TEE)

9月9日(日)14時・・・終演後
七字英輔(演劇評論家) × 志賀澤子(TEE)

9月15日(土)14時・・・終演後
川成洋(大学教授) × 入江洋佑(TEE)

9月16日(日)14時・・・終演後
山本健一(元朝日新聞記者) × 志賀澤子(TEE)


公演の詳細はHPへ
http://www.tee.co.jp/stage-shoukai-image/wesker/wesker.html

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