a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

カーン一族たち。

2012-09-10 20:52:45 | 東京公演
この芝居は、イギリスの労働者階級・カーン一家を中心にした物語。
この一家、とにかくおしゃべりばかり。
いやいや、一家というより、一族かな。

まずは今回上演の2作品両方に登場する最後の人物シシイ・カーン。
ハリイの妹、アダとロニイの叔母さんにあたる。
『大麦…』では、労働組合で働き、
優秀なオルガナイザーとして活動している。
おしゃべり好きはまぁ、当然として、
サラとはまた違ったタイプの女性である。
活動家を引退した後は、
親戚の間を転々としているとか。
生涯独身(?)で、
そういう意味では、思うままに生きている。

そんなシシイ・カーンを演じるのは、
『大麦…』では、町田聡子。

この作品の彼女ももう劇団では中堅の女優となり、
稽古場には後輩が増えている。
学校公演の“先乗り”の牽引車である彼女は、
日常的に学校の先生に会いに行き、芝居の話をする。
そういうところは、
優秀なオルガナイザーとしてのシシイが重なる。
芝居小屋の本公演は久しぶりだとか。

同じく『ぼくは…』でのシシイ・カーンは、奈須弘子。

こちらは、後述するエステル・カーンとのコンビ。
掛け合いが面白く、
エステル役の冨山とのイキのあった芝居が、
舞台を和ませている。
彼女は、舞台上に、
ふわっとした時間を作ってくれる。


『ぼくは…』に登場するアダとロニイもう一人の叔母エステル・カーン。
冨山小枝が演じる。

『マイという女』の老け役いらい、
彼女の老け役は評判が良い。
今回は知識でもなく、
徹底した底辺にいる労働者階級の女。
コメディであり、
また、悲劇でもある。
奈須と2人、客席を沸かせてくれることを期待している。


そしておまけ。
カーン家の一員ではないが、サラの兄。
その縁でカーン家に出入りしている。
演じるのは浅井純彦。

この夏は、『目をさませトラゴロウ』のちょっとしたツアーがあった。
そこでは子どものトラ役、
『風の又三郎』の5年生の少年……、
年齢不詳で、不思議に幅のある俳優。
今回は実年齢に近い配役か。
浅ちゃんの新たな引き出しをのぞいてみたい。


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ウェスカー連続上演

アーノルド・ウェスカー/作 木村光一/訳

大麦入りのチキンスープ  入江洋佑/演出 
ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 志賀澤子/演出

2012年9/6~17
◆=大麦入りのチキンスープ
●=ぼくはエルサレムのことを話しているのだ 
*=Low Price Day
※=アフタートーク
9/6木 19時◆
9/7金 19時●
9/8土 14時◆/※/19時● 
9/9日 14時●/※/19時◆
9/10月 19時◆*
9/11火 19時●*
9/12水 19時●
9/13木 19時◆
9/14金 19時◆
9/15土 14時●/※/19時◆
9/16日 14時◆/※/19時●
9/17月 14時●
開場は開演の30分前

会場:ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線武蔵関より徒歩7分)
全席自由

前売(一般)3800円/前売(学生)3000円
当日(同一料金)4500円
10日(月)と11日(火)はロープライスデー 2500円均一
2作品セット券(2作品セット)=6200円

☆★アフタートーク★☆
9月8日(土)14時・・・終演後
木村光一(演出家・翻訳) × 入江洋佑(TEE)

9月9日(日)14時・・・終演後
七字英輔(演劇評論家) × 志賀澤子(TEE)

9月15日(土)14時・・・終演後
川成洋(大学教授) × 入江洋佑(TEE)

9月16日(日)14時・・・終演後
山本健一(元朝日新聞記者) × 志賀澤子(TEE)


公演の詳細はHPへ
http://www.tee.co.jp/stage-shoukai-image/wesker/wesker.html

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