a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

TEEリレートークVol.7 「闇に向かって跳べ」(広渡常敏) 奈須弘子

2018-11-10 08:14:57 | 劇団員リレートーク


原口さんからバトンがきました奈須弘子です。
皆さん、こんにちは。

原口さんは現在『消えた海賊』で学校公演巡回中、
私は『銀河鉄道の夜』ですが、以前銀河で、
原口さんが船で沈んでしまう幼い姉弟のお姉さん役、
私が家庭教師の青年役で、共演したことがありました。
原口さんは、包容力と気遣い、姉らしさと子供らしさ、いろんな面がみえる温かいお姉さんでした。

あれから時は流れ、幾度かメンバーを変え繰り返されてきた銀河の学校公演も今年でまた一区切り、
毎年恒例だったブレヒトの芝居小屋でのクリスマス公演は、今年で最後になりました。





以前弟役たあちゃんだった、現在カンパネルラを演じる冨山小枝との最近の会話で、
『私たちクリスマス公演何年やった?』
『79年からだから…』
なわけないか…
『97年からだよ!、21年』
今年で36回目になる芝居小屋でのクリスマス公演。
『半分以上やってる⁉(笑)』
ということについ先日気づきました。

私にとって銀河はアンサンブルに入ってから、
最も多く上演した作品であり、
劇団にいるなかでほとんど、隣り合わせに一緒に歩んできた作品です。

劇団に入って一年目すぐ、同期生が銀河のスライド操作で、旅公演につきました。
緊張する長い初旅から帰ってきた同期生は、胃潰瘍になりすっかり痩せて帰ってきて心配しましたが、
翌年私が彼女のあとにスライドについた時には、私に色々教えてくれる心強い先輩に成長していました。
おかげで私は胃潰瘍にはなりませんでした。

私が野外公演を幾つか経験したのも銀河です。
京都梅小路で本物の機関車を使っての野外公演。
あの機関車の存在と、哀愁ある汽笛の音は、今も心に響いています。
横須賀で豪雨の中でやった野外公演。男の人でも寒さで身体全身ブルブル震えていて、
それを必至に止めようとしながら舞台の盆にじっと座る姿。
私も手が震えて早替えのワイシャツのボタンが一人で止めれず、
同じくびしょ濡れの入江龍太に手伝って貰いました。
そして最後までそこに居合わせ見届けその場を一緒につくってくれた、
恐らく私たちより寒さを体感しただろう観客のみなさま。

本当にたくさんの公演を重ねてきて、話しは尽きないのですが、
一番最近の出来事では、劇団の制作であるA.Oさんがなんとスライドで奮闘しています!(学校公演の数回のみ)
制作の時とかなりモードも違い、
普段は私たちの写真をよく撮ってくれるのですが、逆に今はレアなその姿を皆に撮られています。

生徒さんの純粋な眼差しに見つめられながら、お互い掘り返し掘り返されろ!
銀河はまだまだこんなもんじゃないと、一回一回の学校公演を身体に刻む。
「あの闇の中にほんとうの幸いがつまっているかもしれないんだ」
計り知れない闇と未知の未来に向かって、クリスマス公演まで走ろう。
ブレヒトの芝居小屋と『銀河鉄道の夜』に、ありがとうの感謝と愛を込めて。

芝居小屋ならではの空間で生まれた東京演劇アンサンブルの『銀河鉄道の夜』。
クリスマス公演に一人でも多くの方が御来場して一緒に汽車を走らせてくれるのを、
心よりお待ちしております。



次回のリレートークは、三年前銀河でたあちゃんをやっていた、永野愛理です。
今は『消えた海賊』のマルガリータ役で、新しい言葉を生み出そう! という勇敢な女性海賊です。

最後にもうひとつ、今日は銀河の旅公演がお休みの合間、明日東松島高校での芸術鑑賞教室のため、東松島に向かっています。
演目はB.ブレヒトの『例外と原則』。
公家・浅井・竹口・私、そして今回は照明兼音響の二刀流、真壁の5人のみで行う一回限りのリーディングです。
そして第二部として、2014年に上演したデーア・ローアー作『無実』の時に、
ケルティックハープを演奏して頂いた坂上真清さんによるハープコンサート! 久しぶりの再会、とても楽しみです。



東松島高校では毎年夏に生徒さんと芝居をつくるワークショップもやっていて、
今回のリーディングには4名の生徒さんも出演してくれます!
明日はどんな公演になるのか、ハラハラどきどきワクワクとともに行ってきます!