a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

アイドルグループの誕生

2014-03-27 02:48:20 | 東京公演


うちの劇団でこんなことをしてもいいんだろうか…
と、ビビりつつ、麦わら隊をアイドルグループにしたい、とスタッフに相談した。
無宗教のわたしにとって、多分多くの日本人にとって、
この作品で描かれる宗教のかわりに人びとの不満を吸収し、
麻痺させ、考えないようにするシステムとは何か?
わたしの世代ではそれはテレビと大衆文化。
自民党の長期政権とフジテレビを筆頭にしたマスコミが、
全力で作り上げてきた「99%のヒツジ培養システム」。
その象徴がアイドルであり、お笑いだった。
(GHQは3S=スポーツ、スクリーン、セックス)
たどり着いたのがアイドルだったんだけれど。

ちょうど『あまちゃん』で宮藤官九郎がアイドル金儲け秋元某批判を心地よく展開していたし、
ずっと『ワンピース』は流行っているし、
麦わら隊がアイドル、ってのはウケるとも思った。



その妄想を実体化してくれたのが、
まずはなにより、かとうかなこさん。
クロマチックアコーディオンのミュージシャン、若いけれど、もう7枚もアルバム出してる凄い人、に、
ちょっとダークな、百恵や明菜みたいな曲、をおねだりした。(ごめんなさい)



かっこいい曲ができてきて、その歌の指導をしてくれたのが、菊池大成さん。
ほんとうはピアニストの彼が、粘り強くソングの指導をしてくれて、ハモリも完成。
読み稽古の初めでとりかかれてよかった!!!!!



そして振付は明樹由佳さん。
ほんとは女優さんでダンサー、素敵なお姉さん。
他のシーンでも、刻々と変わっていく状況に対応してくれて、とても助けてくれた。
そして、いろっぽくてベタなアイドルダンスが完成!!!!!



そしてもうひとつ、最後まで悩ませてしまった衣裳の稲村朋子さん。
変身させたい!! というわたしの願いを聞き入れてくれて、
モーラーの衣裳と同じ生地で作った赤いスカートを制服の下に忍ばせ、
前奏で変身!!



しかし、それを可能にしたのは、うちの若い若い女優陣。
かわいい彼女たち。
こんなに若くてかわいい女優たちが揃っているって、素敵なこと!!
毎日ソングのレッスン、ダンスのレッスンに励み、ちゃんとショーを見せてくれている。

そしていま、矛盾のなかに放り出されるラストの自分たちに、戸惑っているらしい。
ボスのスナイダーは彼女らをアイドル化させて自分は上に行っちゃうし、
目の前でヨハンナは死にそうだし、
そのくせヨハンナには教訓を垂れなきゃならないし、
役者としても、この役割に消費されて居どころをなくして立ち尽くす彼女たち。
ごめん。
けれども、いまを生きるわたしたちにもっとも近いのは、麦わら隊なのかもしれないのだ。
善意はあり、ボランティアもしたい、人の役に立ちたい、
だけど深入りはしたくない、どこか醒めて世の中を見通していて、けれどもすべてがグレイで不安で…

そういう今をわたしたちは生きているのだと思うのです。
だからどうか、がんばってください!!!!!

小森明子



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TEE東京演劇アンサンブル公演 創立60周年記念公演Ⅰ
屠畜場の聖ヨハンナ

作 ベルトルト・ブレヒト
訳 加藤衛訳
演出 小森明子
構成 庭山由佳・小森明子
音楽 かとうかなこ
装置 池田ともゆき
衣裳 稲村朋子
舞踊 明樹由佳
照明 真壁智恵子
効果 勝見友理
歌唱指導 菊池大成
舞台監督 入江龍太
宣伝美術 スズキコージ・奥秋圭
制作 太田昭

2014年
3/20(木)19:00 終了
3/21(金)14:00 終了
3/22(土)19:00 終了
3/23(日)14:00 終了
3/24(月)19:00☆ 終了
3/25(火)休演
3/26(水)19:00☆ 終了
3/27(木)19:00
3/28(金)19:00
3/29(土)14:00
3/30(日)14:00 まもなく満席

前売(一般)=3,800円
前売(学生)=3,000円
☆=Low Price Day = 2,500円
当日=4,500円

全席自由 申込順に整理番号を発行

ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線 武蔵関徒歩7分)  


東京演劇アンサンブル TOKYO ENGEKI ENSEMBLE
〒177-0051 東京都練馬区関町北4-35-17
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作品詳細

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