空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

まあ,まずは論文を書くとしますか

2013-09-02 18:50:35 | Weblog
 承前「スーパーグローバル大学だとか 2013-07-29」



 残念ですけど,相当数のみなさん,研究を頑張らない/頑張れないんですよー。
 教育業務・事務業務が山ほどありましてですね。
 真面目に講義をしようとすると,講義ノートの検討・(実施・)反省だけでも,もう大変。

 講義時間がひと段落すると,学生が訪問してきたりしてですね。

 で,学生が(概ね)帰宅した夜間にしか研究時間が取れなかったりするのですね。
 すると,”普通”の家庭生活が犠牲になる。独身の者はともかく,結婚している人・子供のいる人は,かなーり無理だろう。

 といっても,独身の若い人ならみな研究しているかというと,そうでもない辺りがアレですが。まあ配分される研究費も(申し訳ないが)さほど多額でもない。文系の私でさえ,そう思う―学会発表のための国内旅行2回と書籍多少で終わる。

 そうすると,実際上,「研究頑張らせ」ることができるのは,競争的資金の書類を書かせる(そして採択される)後のこととなる。

 そしてその間も学務は降ってくるのである!
 そして給料はあまり変わらないのである!
 ならば,『研究やってもやんなくても給料変わんないなら,研究しない方が楽なんじゃね? っていうか,時間を考えるとできないしさあ』的なところに落ち着いたりしかねないのである!

 さらに『ということは,我々の給料は我々の教育業務に対して支払われているわけだから,我々はもう,仕事しているんだよ。だから”みんな”仕事しなきゃいけないよね?』的に仕事が振られるのである!
「すいません,私,もうひとつ資金取れました」
「ああそう,でも仕事はやってもらうから」
 みたいな。

 …いや,しますけどね?




 ……まあその,そのスーパーグローバル大学(予定)さんたちは,東大・京大(ここらは流石に諸種学会の元締め業務で忙しい中,ほんとにご苦労さんです),北大・東北大・名大・九大…とか,少なくとも日本国内では押しも押されもしないレベルの大大学さんでして。別に言われんでも研究してるわな。

 問題は,地域教育拠点を期待されるところ及びそこに漏れるところあたりで…



 苦しい側に属するのがこちらでございます。



 流石に大規模科学を展開される大大学さんとは,事情が違いますので―困ると言えば困る。いや小規模大学だと『アナタのとこでは,こんな研究計画できっこないでしょ?』と撥ねられたりするのであって。ということは,科研費が採択されても,予算規模からして一桁や二桁低い程度のものだけだ。

 そんなわけで,一般のかたが『みんな博士先生なんだから,同じだけお金をあげれば同じくらい業績を挙げてくれるよ! だからもっと広く!』と言ってくださっても,それだと「どっちも死んじゃいます」と答えざるを得ない面がある。我々にとっては,扱いきれない多額の研究費を預けられることで,大大学さんにとっては,必要機材も買えない少額予算しか得られないことで。

 おそらく選択と重点配分とはどうしてもやらざるを得ないことなのである。一般社会でもそうであるように。

 ところで,博士ならみな同じ能力なのかといえば,もちろんそんなことはないのであって。
 なんで研究できないかっていえば,「だって予算がこないもん」というのが答えのひとつ。私だってそういう。
 これに対しては「じゃあ予算,取ってこい」と事務側は言いたくなるだろう。これが問題でね。ここで言う予算は,競争的経費のことで,ということは他所さんを巧い事説得してお金を貰う必要がある。

 書類を書くのだ。説得的な書類を書く必要があるのだ。

 それ,誰でも書けるだろうか?
 必ずしも,そうではない。

 さて,ひとを説得する文書を書けないひとに,論文が書けるだろうか?
 不可能とはいわんが,割と難しいんじゃないかなと思われよう。

 ということで,ここで詰むひとが結構いるっぽいのである。

 そんなわけで,ふつーは書類を他の人にチェックしてもらって,なんとかするんだが―

 ―その算段を付けるコミュニケーション力を欠いている人が共同研究だの他機関に連絡つけて資料収集だのなんだの,できるだろうか。
 不(ry



 とにかく。
 私としては,研究者として完全死したくないので,様々作戦しているところ。大大学暮らしの方々を羨ましく眺めはするが,眺めるだけでは一歩も進まない。ここでできること,短期的にできること,長期的にならできそうなこと,様々を考えて作戦しつつあるので…

 …まあ,まずは論文を書くとしますか。学術振興会さんにも,財団さんにも,きっちり報告して『ねー,次も欲しいよぅ。ちょーだいっ!』と言えるように。
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