空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

トルコ軍,イラクへ越境攻撃

2011-10-20 18:00:00 | Newsメモ
 ジェット戦闘機やヘリ・ガンシップに支援されて,トルコ軍はクルド民兵を追ってイラク国内に越境攻撃。

BBC Turkish troops pursue Kurdish rebels into Iraq 19 October 2011

 これはイラクとの国境に接するHakkariで起きた,クルド側による夜間の待ち伏せ攻撃で24名のトルコ軍兵士が死亡したことに応ずる処置。これは1993年以来,最大規模の損失であるという。数日前には南東Bitlis県で爆発,警官5名およびその他3名が死亡する・7月半ばには17名の民間人及び多数の軍関係者が死亡する・トルコ側の「手入れ」がイラク北部にも展開するなど,最近,トルコとクルド民兵側とで衝突が激しくなっていたという。

 直近のこの事件は二個所(CukurcaおよびYuksekova)で同時に起きた―つまりは組織的な―もの。Recep Tayyip Erdogan首相は「hot pursiuit」を行うとし,トルコ軍機がPKKの基地を空爆しているという。Gul大統領曰く「誰も忘れるべきでない,我々にこうした痛みを被らせるような者どもは,より強い痛みを被ることになろうと」「こうした攻撃に対する復讐がどれほど大きいか見るがいい」。

 すでに15-20名のPKK戦闘員が死亡したともいう。

 首相も外相も海外訪問をキャンセル。内務相・防衛相は現場に急行。米国及びNatoは,他方,トルコの攻撃に支持を表明。「政治的理由も宗教も,テロを正当化などしない」。


 ある国が隣国に越境攻撃―という点では,今現に行われているケニア・ソマリアの件と比較してみるとよい。fighter jetsやhelicopter (gunship)なんて用語も共通する。

 そうした構造は似通うが,一読して明らかに違うのは,作戦発動の直接の原因。
 トルコ・クルド労働者党の場合は,曲がりなりにもそれなりに正々堂々たる待ち伏せ攻撃。戦争やってるんだから,待ち伏せは引っかかる方が間抜けだという言い方も可能だ。ゲリラが敵軍人を狙って攻撃したんだから,これはそれなりにちゃんとした戦さだ。

 ケニア・ソマリア(アルシャバブ)の場合は援助団体職員誘拐。

 …あのやっぱり私,武人の名誉もなにもなさそうなアルシャバブなんぞ踏みつぶし磨り潰してしまえという気がするんですが。心臓病のばーちゃん捕まえて身代金かっぱごうとする連中(を野放しにしてる連中)なんぞ。

 だってさ,USAのやり方が不人気な理由の一つは,無人機攻撃をするからじゃないかな。ゲーム感覚の勢いで人を殺す,こっちは無敵ブリンク状態永久確定―勝負としてフェアじゃない。
 自爆テロがそれなりの志願者なり支持者なりを獲得するのは,『わが身をすてて敵に立ち向かう勇気』なんじゃないかな。わが身を捨てて危地に赴くってやつ。

 それなりにフェアな勝負になってないと,私たちはどうも気分が悪いんじゃないかと思う。軍人さんの述懐なんかに,あまりに一方的な殺戮の場合「これじゃ殺人だ」なんてのがあるでしょう。こんなのフェアじゃない!って―

 ―アルシャバブは,フェアとは言えないよ。私,彼等がKismayoで同盟勢力も地元氏族も無視して権益独占しようとしたこと,憶えてますよ? 戦友を裏切らない,ってのは戦場の仁義じゃないか。彼らはそれをやったんだ。それをやって,競合する組織でもある戦友の経済的補給線を断ち切って,自分たちに吸収合併されるほかなくしておいて―

 ―で,今,内部から乗っ取られていたりするわけですが。
 あほのこわりとかわいいかもしれない。これであとは,やることさえ可愛ければなあ。

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