「今や政府は存在しない」：ソマリア暫定大統領語る

　新聞読む際の基本は「複数突合せ」（挨拶）。そんなわけで同一の件を扱う2つの記事を：

BBC　Somali head admits militant gains　15 November 2008　By David Bamford

Garowe Online　Somalia: 'There is no government': President Yusuf　Nov 15, 2008

　ソマリア暫定大統領Yusufが，ケニアでソマリア議会議員を前に演説。反政府武装組織は国の大部分を支配している，今や機能する政府は存在しない―。

　そんなわけで，英国で「定期健診」を受けてきたユースフさん，早速ケニア・ナイロビで活動再開。どれだけ彼の死が願われているかって，彼が入院する度に（…国家指導者としてありえないくらい頻繁なんだよ…）『ユースフ，危篤！』ってニュースが飛び交うことから思われます。
　その点をとらえて言えば，いちいち『ユースフ危篤！』って騒ぎ立てるメディアにはバイアスがあるか，それとも確実なニュースソースにあたる手間を省いているかまたは接触する能力がないかという疑いを掛け得るわけで…私がアレとかソレとか，あまり利用しない理由をお察しくださいというところ。

　んでまあ，この件でも，「何処で」「誰に」語ったかは注意点。当然メディアに「ユースフが政府の崩壊を自認した！」と言う格好で流れるのは読み込み済みなわけで，それだけでもまさしく綸言汗の如しですが，

　「誰の」内閣が「存在しない」のですって？
　「ナイロビで」語る意味は？

　…ナイロビでIGAD会議があって，ソマリア暫定政権関係者はみなお呼び出しを頂いてたりしたのですよ。

　んで，「イスラミスト穏健派と妥協してさっさと和平を纏めろ。その線で内閣つくれ。15日以内に。やれ」（意訳）ってご指導あいや勧告を頂いたのです。
　そーして首相Nur Addeが入院中の上司に内閣案―Yusuf派閣僚10名を排除したものと思われる―を提示してきてたのです。

　―そんな内閣は認めることができない。大統領が内閣形成に際して却下するわけだから，そりゃこの国に「内閣は今や存在しない」わけだわな。Garowe Onlineのほうの解説では，これはNur Addeの解任を意味するものと思われるとかありますが，ま，そんな感じかな？

　尤も，だからといってイスラミストの勢力がないことになるとか，今現に掛かっている圧が幻になるかということはないのでして。ソマリア事情はさらにぐだぐだ度合いを増したというところですかね。

　ジンバブエドルのアレ加減よりましではありますけど（恐らくは）。


　しかもエチオピア政府のYusuf-Nur Adde間調停交渉も不調に終ったところと言う話でして，Yusufのこの発言は色んな方向へのあてつけの意味も含まれているかな，という感じ。つくづく，大人気ない国家元首（推定80歳）だなあ…。

　…まあねー。ふつーなら，『国政の崩壊を国家元首が認める』だなんて大事ですけど，そもそもろくろく機能してない政権だしねー。だからといって，政争をここまででかい風呂敷に広げなおすのはどうかとおもうー。

　Ghediだって，傀儡に使おうと思って任につけて，結局不仲になって首にしたわけだ。また傀儡のyesmanを採用してまた不仲になってって，やっぱりこれ，Yusufに問題があるよなぁ…。