空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

各社報道の比較,今後の情報収集の方針確認など

2009-10-28 17:54:05 | Weblog
 総評:朝日・読売は誰(たち)が・いつ・どこで・なにを・どのように・したか(なにが・起こったか)をまず過不足なく提示しており,合格点。

読売 護衛艦「くらま」関門海峡で貨物船と衝突、炎上 (2009年10月28日 読売新聞)
朝日 海自護衛艦と貨物船衝突、炎上し3人けが 関門海峡 2009年10月28日3時2分

 朝日については『で,どっちが悪いのさ?』という,わき起こるであろう疑問に適切に答える説明を加えており,さらに好意的評価が下されるべきであろう:

「(朝日:)海保によると、海上衝突予防法で海峡の航行は「右側通行」と定められており、前方に相手船を発見した場合も互いに「右へ回避」が原則。だが、「カリナスター」は船首右側が損傷しており、海保は今後その経緯を調べるとみられる

 読売は,得た情報に不足があると判断したのだろうか,この点に踏み込まず。受け取り側としては,解説の不在に不満を感じるだとうところだが,慎重な態度と一定の評価をすべきか。但し,ただ衝突しただけとは思えない「くらま」側船首損傷の理由(塗料の延焼)の説明があり,独自な点というべき。

産経 【護衛艦衝突・炎上】狭い海峡、船の難所 任務後…イージス事故と類似? (1/2ページ) 2009.10.28 01:23

引用1:「(産経:)双方の回避措置が適切だったかどうかが最大の焦点になる
引用2:「(産経:)平成20年2月にイージス艦のあたごが漁船「清徳丸(せいとくまる)」と衝突し、清徳丸に乗船していた2人が死亡した事故との共通性も指摘される
引用3:「(産経:)海自は、あたごの事故をはじめ不祥事が続発したため、根本的な体質改善を図るとして、隊員教育や艦長養成課程などを充実させる方針を打ち出したばかり。「なぜ、こんなことが続くのか」と頭を抱える海自幹部もいる。

 産経は朝日の1時間40分前に記事を出したことになる。憶測(引用2)を(無批判に)掲載し,本事故自体について述べることが少ないのは大いに難。この点,朝日の情報収集・提示能力に比して劣り,読売の慎重さに比して劣ると言わざるを得ない。

産経 【護衛艦衝突・炎上】北沢防衛相「遺憾と言うしか…」 海幕長が“助け舟”も 2009.10.27 23:05

「(産経:)北沢防衛相は自ら異例の会見に臨んだが、事故原因などを問う記者からの矢継ぎ早の質問に言葉に詰まり、赤星慶治海上幕僚長が隣まで来て、記者の質問に答えるなど“助け舟”を出す場面もあった

 幕僚長の助け舟へ言及する意図としては,勿論単なる挿話である可能性は排除できないところだが―そんな挿話を報じる余裕があるなら事故自体に関する情報調査をしろと突っ込みを受けるべきところだろう。寧ろ『官僚にたよらず,政治主導。』という(無茶な)方針を示した新政権に対する嫌味であると判断すべきかと思えるのは,まあ産経だしな

 あとはしっかり読む気を失ったので羅列。とりあえず上掲数社については,朝日がその能力を誇示したと言えるか。こうしたところで力を示すからこそ,朝日(と対抗版として読売)が選ばれるのであって,まあスタンダードを目指すならまずは朝日の手法と能力を徹底的に分析・わが身につけるよう心がけるべきだと思う。

日経 政権初の危機管理対応、護衛艦衝突 首相、情報収集など指示 (27日 23:35)

 短い文ながら関門海峡通行止めに文字数を割り振っているのは流石に流通・経済に関わる人であるかと無理に感想を述べてみる。

毎日 海自護衛艦衝突:「ドーン」「船が燃えている」住民騒然 2009年10月27日 22時33分(最終更新 10月28日 0時44分)

 現場からの声を伝えるのに急なのは…まあいいか。

朝日 コンテナ船、護衛艦の針路にはみ出す? 衝突事故(2/2ページ) 2009年10月28日8時5分

神浦元彰さんは「関門海峡は狭く、潮流も国内では最も速い場所。船の通行も多く、本来は追い越しをするような場所ではない。潮流の激しいところで追い越しをしようとしたコンテナ船がコントロールを失った可能性もある。護衛艦も船の行き来が多い中で身動きが取れなかったのではないか」と分析する

 避けようがなかったろうねえ。


 さてこうして各社報道を並べてみてみると,今後,新聞を見る上でどこを基準とすべきかという,なんというか,格付けの方針,作業仮説が浮き上がってくるかと思われる(これをどう選ぶかに,何を判定基準とするかに各人の見識が現れてくるわけだが)。

 私には,上掲のいくつかの報道を見た限り,朝日+読売+日経を情報収集の基幹とすべきかと思われる。判断の基準は挙げたとおり,分析・解説の存在・不在または適・不適,慎重さのあるなし,情報収集能力の高低。こうした作業仮説が機能するかどうか,日々の状況に合わせて微調整してゆき―結果として『○●新聞,読むべし』などとなるのであって,別に政治的にどこをどう支持するかとかは知ったことではないというのが私の立場なのだが,まあこういう位置は分からん人には分らんらしい。

 なお様々な情報は週刊オブイェクト「関門海峡で護衛艦くらま衝突事故、火災発生(2009年10月28日)」;Kojii.net ココログ別館「とりあえず参考写真だけ(Oct 28, 2009 at 09:50 AM,または以降の記事)」に集積されるかと思われ,私は自身ではさほどの調査はしないこととする。

読売 韓国船船長「前の船追い越そうと護衛艦と衝突」 (2009年10月28日12時14分 読売新聞)

 航海法的な話を一言しておくのは読者に便宜を齎す。感覚的に,狭い上に交通量の激しいところで無理やり追い越し掛ける方が悪いに決まってるが,『だってそう思うもん』だけでは話ができない。

 にもかかわらず未だ一言ないのは,非常な慎重さを示しているものかとも思われる。これはこれで称賛すべき態度の一つではあろう。
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